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2008年7月 5日 (土)

ブラジルの文学事情 くらしで使えるポルトガル語

 今回のスキットをご覧いただいて気がついた方も多いかもしれませんが、今回のクラウヂアとめぐみの会話の内容は、前回の第13課の内容を少し引きずっています。前回、道で転んだのに誰(だれ)からも声をかけてもらえず、日本人は冷たいと感じて少し落ち込んでいたクラウヂアでしたが、それから1週間(?)でどうやら立ち直り、日本の文化を知ろうとチャレンジを始めた、という話でした。何とも切り替えの早い、クラウヂアの前向きさには、驚くべきものがありますね。

 日本の文化を知るために、日本文学を読み始めたというクラウヂアですが、これまでにもいろいろな作品がポルトガル語に訳されています。スキットでは「三島の翻訳を読んでいる」と言っていましたが、三島由紀夫をはじめ、谷崎潤一郎や川端康成などの作品がブラジル国内でも出版されているようです。
そんな中、現在ブラジルで特に人気のある日本の作家は村上春樹だと言われており、日本の作家で真っ先に思いつくのもやはり「村上」、という人が多いとのことです。更には、最近芥川賞を受賞して話題になった金原ひとみの「蛇にピアス」も昨年出版されたという情報があります。

 それとは逆に、日本語に訳されたブラジルの文学作品も勿論(もちろん)存在します。まずブラジルの文学史を簡単にひもといてみますと、ポルトガルの植民地時代を経て、独立を果たす19世紀前半に、文学の世界でもブラジルの国土や自然などを背景とした独自の作風を追求する動きが活発になります。
ブラジルの国民文学の創始者と言われる小説家のジョゼ・デ・アレンカール(José Martiniano de Alencar)らを輩出した時代で、独立を果たしたばかりの国家らしい、ナショナリズムや理想主義に溢れた「ロマン主義の時代」と言われています。ブラジルが共和国になる19世紀末になると、それまでの主観が強い作風に対して、写実的、客観的なリアリズム・自然主義の文学が主流になってきます。
この時代に活躍したマシャード・デ・アシス(Machado de Assis)は、「ブラジル文学史上最高の作家」とも評されています。また、20世紀に入るとモンテイロ・ロバット(José Bento Monteiro Lobato)による優れた児童文学作品も生まれました。

 1920年代には「モダニズム」と呼ばれる文化的な運動が興り、ヨーロッパ式伝統主義を打破し、ブラジルの現実に根ざしたブラジルの芸術を模索したことから、自由な形式の詩や、口語体・くだけた表現を用いた作品など、それまでになかった新しい作風が生み出されてきます。この時期には、ブラジルの北東部など地方に暮らす人々を題材にとりあげた「地方主義文学」と言われる作品群が多く発表されるようになります。この時代に活躍し、ノーベル賞候補にもなった作家のジョルジ・アマード(Jorge Amado)は、ブラジルの北東部の民衆を生き生きと描いています。

現代のブラジルの作家で、おそらく世界でもっとも読まれているのは、作品「ベロニカは死ぬことにした」が日本に設定を変えて映画化されたパウロ・コエーリョ(Paulo Coelho)でしょう。彼の最新作『ポルトベーロの魔女』は4月末に日本でも出版されました。また、2000年には、女性の児童文学者アナ・マリア・マシャード(Ana Maria Machado)が国際アンデルセン賞を受賞しています。

 この番組の講師、武田千香先生が翻訳されたブラジルの文学作品もあります。先に紹介したジョルジ・アマードの「果てなき大地」、作家であると同時に作曲家、歌手としても活躍するシコ・ブアルキ(Chico Buarque)の作品「ブダペスト」などがあります。興味のあるかたは、是非お読みになってみてください。



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