今日は強い風が吹いている。雨は降ってなさそうだが音がすごい。こんな日は外に出たくない。食材がないのがいたい!
中島みゆきさんの歌に「強い風はいつも」という作品がある。この歌も非常に抽象的でさまざまなメタファオンパレードだ。
しかし「地上の星」のように、それぞれの比喩が何を示すのかと考えるアプローチよりも、包括的にその「強さ」と私、もしくはあなた、もしくは第三者との関係性とから、「強さ」について考えはじめたい歌だ。
そしてその「強さ」は「ボク」に様々な思いを残してゆく。だからどうなるという結論めいたこともなく、ある種の風景描写のような歌になっている。それは物理的な風景の場合もあれば心象風景のようなものの場合もある。
この抽象的な風景描写は中島みゆきのひとつの特徴ともいえる。ひとつの歌のなかにあるキーワードそのものにこだわるのもいいし、いくつもの歌に現われる同一キーワードのメタファの共通性、差異性、変化または不変などを読み解くこともできそうだ。
そもそも「風」というのは詩人の心を捉えるキーワードのようだ。松本隆さんも風が大好きだ。作品集は「風街図鑑」だった。
風といってすぐに思いつくのはボブ・ディランの「風に吹かれて」。いろんな歌手がカヴァしているし、オフコースは同タイトルのオリジナルを作った(これも名曲)。
松田聖子の「風立ちぬ」、はっぴぃえんどの「風をあつめて」、堺正章の「北風小僧の貫太郎」、アルフィーの「風曜日、君をつれて」などなどなど。
風は向かい風もあれば追い風もあり、留まることのない現象でつかみどころがない。風とどう付き合っていくかは詩人の感性と密接につながっているようだ。
でも今日のように強い風の日には、中島みゆきさんの「強い風はいつも」だった。あるいはタイトルに風が出てこないが「断崖-親愛なる者へ」も強い風の歌だった。
どんな風とどんな風に付き合っていくべきか。とりあえず今日は外に出たくない(笑)。