「AnkiSnap」を使って英会話をマスターしよう!前編 佐藤久美子先生に聞きました 英会話のレベルアップに暗記って必要?

ぺんてるから好評発売中の「AnkiSnap」は、スマホアプリに連動した暗記専用 のマーカー。
このマーカーを使った効果的な英語学習の方法を、第ニ言語獲得に
ついて研究されている玉川大学大学院教授、佐藤久美子先生にお聞きしました。

AnkiSnapは、スマホアプリに連動した
暗記専用のマー力ー。

教材やノートにマーキングして、アプリで撮影するだけで自作の暗記シートの出来あがり。暗記シートはスマホで操作できるから、電車の移動時間や待ち時間を、暗記時間に変えられます。

AnkiSnap

英会話のレベルアップに暗記って必要?

結論から申し上げると、言語を習得していく上で暗記することはとても重要なことです。私が専門とする乳幼児の言語獲得・発達の研究結果でも、その重要性は明らかになっていて、もちろん私たち大人が第二言語を学ぶ場合とも共通しています。

子どもが母語を習得していくプロセスを例にとってお話ししましょう。そもそも、子どもが言語を学習するプロセスには2つの側面があると言われています。

1つ目は、文法に気づくこと。複数形になると「s」をつけるというルールがあるんだな、過去のことを言うときは動詞に「ed」をつければいいんだな、と体系化しながら言語を学んでいきます。

佐藤久美子先生(Kumiko Sato)

玉川大学大学院教育学研究科 教授。

佐藤久美子先生

津田塾大学大学院博士課程修了。ロンドン大学大学院 博士課程留学。乳幼児の言語獲得・発達研究に従事し、その科学的成果に基づく英語教育を提案している。1998~2002年、2012~2016年NHK ラジオ「基礎英語3」「基礎英語2」講師、2012年よりNHK E テレ「えいごで あそぼ」総合指導をつとめる。

2つ目は、シーンと一体化しながら単語やフレーズを習得していくということです。例えば、お昼時にいつもお母さんが「Are you hungry?」「You are hungry,right?」と、子どもに声かけをしていたとします。こうして、同じ「hungry」という単語を、いろいろなバリエーションで耳にすることで、子どもは「お腹が空いているときはこの言葉を使うんだな」と覚えていくのです。そして、シーンと呼応した単語やフレーズがインプットされ蓄積された時に、子どもはそれと同じ場面に出くわすと、言葉を発するようになるのではないか、と言われています。

この2つのポイントは、どちらかだけが重要ということではありません。文法を学びながら、語彙力を増やしていくことが、会話力の基本となっているのです。

語彙力が伸びると会話力も伸びてくる

また、語彙力と反復力は深い関係があります。5,6歳までの子どもの場合、反復力が高い子どもは、語彙力が高いです。反復力とは、耳にした単語やフレーズをそのまま復唱する能力のことで、「lion」と聞いて、「lion」と、そのままリピートできるかどうか、ということです。簡単な単語や短いフレーズなら、意味を知らなくても反復することができるのですが、文章を一文まるまる反復するためには、言葉の意味を理解していなければなりません。つまり、語彙力と文の理解と反復力はとても深い関係にあるのです。

さらに、語彙力と反復力は、自由回答力(会話力)とも強い相関関係にあるという研究結果が出ています。つまり、語彙力が上がり、単語や文章が反復できる力がつくと、自由に回答する会話力が身についていく、ということなのです。

隙間時間を活用して、継続的に学習することが大切

単語やフレーズを繰り返し学習することは、言語習得においてとても重要です。人間には、短期記憶と⻑期記憶があり、初めて耳にする単語は、まず短期的な記憶として脳にインプットされます。短期記憶は、15~30秒で忘れてしまうのですが、繰り返し反復することで、この情報は重要だ!と脳が判断し、次第に⻑期記憶に送られ、その単語は定着していくのです。

これは、マラソンの練習と同じですね。365日のうち、たった1日、10km走ったからといって、フルマラソンが走れるようになるわけではありません。英語も毎日少しずつ挑戦するからこそ、レベルアップしていくのです。

単語を覚えるときの目安として、母語であっても最低10回以上出会わないと覚えないと言われています。またこれは子どもが母語を習得する場合の結果ですから、大人になってからの第二言語の習得では、必ず反復するなど、もう少し努力を重ねなくてはいけないかもしれません。

覚え方は十人十色。優れた学習者の真似をすることも大切ですが、自分流を見つけることはもっと大切です。視覚的に覚える、聞いて覚える、口に出す、そしてなるべくこうした五感を使った活動を組み合わせるなど、色々な学習法がある中で、自分に合ったやり方を見つけられるかが近道への鍵となります。

個人的には、自分が愛着のあるテキストを使ったり、興味関心の高いものを使ったりすることが効果的だと考えています。例えば、社会人の方であれば、英字新聞の中から、ご自身が携わっている業界の記事のみをピックアップして教材にしても良いでしょう。好きなハリウッドスターがいるなら雑誌や新聞のゴシップコラムも立派な教材になります。お子さまがいる方なら、一緒に英語の絵本で単語を覚えるのも楽しいですね。「愛着がわく」ことは、学習を進める上でとても重要な要素なのです。

後編では、「AnkiSnap」の具体的な学習方法について、以下の2つの視点からご紹介します。

  • 1. 佐藤先生から、タイプ別の具体的なAnkiSnap活用術
  • 2. 佐藤先生の下で英語学習法を学ぶ大学院生の皆さんが実践した「AnkiSnap」を使った学習法
「AnkiSnap」を使って英会話をマスターしよう! 後編 暗記専用マーカー「AnkiSnap」を使った効果的な英語学習法を教えてください。後編を読む