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トマ・ピケティ「目前に迫りくるフランス大統領選の懸念点」
4/23(土) 16:01配信 クーリエ・ジャポン
■危険なのはマクロンの「傲慢さ」
今回の大統領選がどうなるのかはまだわからない。だが、一つだけ確実なことがある。それは「左派」対「右派」という、あの馴染み深い対立が波風なく戻ってくるわけではないことだ。
その第一の理由はフランスの政治が全体的に右傾化し、反移民の有権者層が出現していることだ。右傾化の勢いが危険なまでに強くなったのには、この5年間のマクロン大統領の政権運営の責任もある。第二の理由は、左派勢力が分裂状態にあることだ。左派勢力が再び団結し、権力を奪取するまでには相当長い時間がかかるはずだ。
まずは前述の第一の論点から説明しよう。はっきりしたことがある。もともとは「中道」を掲げたマクロンが右派の経済政策を採り入れたため、フランスの政治全体が右傾化したのである。中道のマクロンが右に寄ったので、その分、右派の共和党はさらに右へ寄り、アイデンティティ政治にのめり込み、そののめり込み具合が極右勢力と果てしないカーチェイスを繰り広げるかのようになった。
最も危険なのは現職マクロンの傲慢さである。自分は議論もせず、政策も示さずに、再選を果たせると思っているところがあるようなのだ。あるいはマクロンの場合、仮に政策を打ち出しても、それは彼の本性を示すものとなりがちだ。すなわち、まず何よりも資産家のためになる政権運営を心掛け、敵の分断を図ろうとするのだ。
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