★「神」を表すgodという言葉は「唯一無二の神」のことなのか?
リスナーの方からいただいた質問です。
「12月6日放送の『タイ 環境にやさしい灯籠流し』というニュースの中で、the goddess of water(水の女神)という表現がありました。私はgodやgoddessは一神教的な宗教の中で使われる用語だと理解していました。このニュースではdeityなどの方がふさわしいケースではないかと思いますが、いかがでしょうか?」
godは、最初のgを大文字にするか小文字にするかで、使い方が異なります。
●最初のgを大文字にしたGodは、キリスト教などにおける唯一無二の「神」を表します。一方、
●全て小文字にしたgodは、複数の神を信仰する宗教での「神」を表すのに使われます。
この区別は、英語における固有名詞と普通の名詞との違いから来ています。
小文字で書かれたgodは普通の名詞です。「人々によって信仰される超自然的な存在」という意味になります。a godと言えば「ひとりの神」(一柱の神)、the godならば「その神」、そして複数形のgodsは「神々」で、神道やギリシャ神話などに登場する神々も広く表すことができます。
goddess「女神」についても同様なので、タイの「水の女神」(“プラ・メー・コンカー”)を表すことができます。神が複数いる場合は、ご指摘のようにdeityを使うこともできます。
次に、最初のgが大文字のGodです。
普通の名詞の最初の1文字を大文字にすると、固有名詞へと変化します。
固有名詞とは「その人やものに固有の名前や名称」、つまり「その人だけ、あるいはそのものだけを指す名前」です。代表的なものがChristy Westのような人の名前で、それぞれの単語の最初の文字は大文字になります。
キリスト教など一神教での神は、大文字で始まるGod、つまり固有名詞です。これはどういうことかというと、「神」という言葉自体が固有の名前である、つまりほかには「神」はいないというメッセージが示唆され、特別な響きを持つ言葉になります。
大文字で始まるGod「唯一の神」の例文:
・I pray to God every night.「私は神に毎晩お祈りをします。」
・In the beginning God created the heaven and the earth.「最初に神は天と地を作りました。」(旧約聖書)
小文字のgod「多神教の神」の例文:
・The ancient Greeks believed in many gods.「古代のギリシャ人は多くの神々を信じていました。」
・A goddess of water emerged and gave me three axes. Now I call her Lake Goddess.「ある水の女神が現れて、私に3本のおのをくれました。今では私は彼女を『湖の女神』と(いう名前で)呼びます。」
なお、キリスト教などでは大文字のGod以外に神はいませんから、大文字でGoddessという言葉を使うことはないと思います。多神教においては、特定の女神の名前(つまり固有名詞)の一部として、上の例文のLake Goddessのように大文字のGoddessを使うことはあるでしょう。
英語では、大文字で書き始める名詞(固有名詞)と、小文字の名詞(普通の名詞)をはっきりと区別するのが大切なルールです。大文字には「これは名前です!」という意味が込められていることを意識してみてください。英語を書くときには、大文字・小文字を使い分けると正しく伝わる文になります。