Lesson 67 may (2) 許可のmay、祈念のmay、譲歩のmay
mayの「許可(~してよい)」は、少々堅い感触の「許可」です。「上司→教師→生徒、親→子」のように、話者と相手との立場関係が『話者の方が目上』という関係にほぼ限られます。疑問文では、おのずと話者が相手に対してへりくだったニュアンスが生じます。丁寧で控えめな、一種の謙譲表現として使えるため、相手が目上の人ではなくてもビジネス表現では好まれます。許可の意味を示す助動詞としては、can も使えますが、may のほうが上下関係が意識されやすく、改まった場面で用いられる傾向があります。
HinaがWinston先生に金曜日のリーディングテストについて質問します。
W: おはよう、皆さん。ひとつお知らせすることがあります。
金曜日にリーディングのテストを行うことにします。
H: ウィンストン先生、質問していいですか?
W: もちろんです、ヒナ。どうぞ。
H: 私たちはテスト中に辞書を使ってもいいですか?
W: ええ、かまいませんよ。
H: もうひとつ質問があります。(携帯)電話を使うのはどうですか?
W: どうしてあなたは電話を使う必要があるのでしょうか?
H: 祖父に電話をかけるためです。祖父は「歩く辞書」なんです。
W: それはしゃれになりませんね、ヒナ。答えは「だめ」です。
W: Good morning, everyone. I have an announcement to make.
There is going to be a reading test on Friday.
H: Mr. Winston, can I ask a question?
W: Sure, Hina. Go ahead.
H: May we use a dictionary during the test?
W: Yes, you may.
H: I have another question. How about using my phone?
W: Why would you need to use your phone?
H: To call my grandpa. He’s a “walking dictionary.”
W: That’s not funny, Hina. The answer is “No.”
REAL GRAMMAR FOR COMMUNICATION~会話に役立つ文法~
may (1) 可能性・推量の may (~かもしれない) → Lesson66
may (2) 許可の may(~してよい)
May we use a dictionary during the test? - Yes, you may.
(私たちはテスト中に辞書を使ってもいいですか? -ええ、かまいませんよ)
mayのイメージが「開かれたドア」であることを思い出しましょう。権威あるものがドアを開けてあげるところを想像するとこの「許可(~してよい)」の意味に至ります。この文はmayがMay we~?と疑問文で使われているため、相手の権威を尊重した「下から上へ」の許可を請う感覚で使われています。許可のmayにnotが使われると、「いけません」と禁止を表すことになります。ここにも権威の存在が感じられます。下の文には公的機関が禁止しているニュアンスが感じられます。権威あるものがドアを閉めきっているニュアンスですね。
You may not bring any food or drink into the library.
(図書館にはいかなる飲食物も持ち込んではいけません。)
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may (3) 祈願・祈念の may (~でありますように)
mayには「祈願」「祈念」(~しますように)を表す使い方もあります。
「下から上へ」許可を請う感覚が、絶対的な権威者である神様へ「ドアを開けておいてください」と「許しを請う」「祈願する」感覚です。「許可」の延長線上にある使い方といえるでしょう。
祈念の may は倒置文の形を取ります。倒置の効果により強調が加わった形になります。
(May) God bless you.
(神様のご加護がありますように)
May you and your family be healthy and happy!
(あなたとご家族のご健康とご多幸をお祈りします)
May all your dreams come true!
(あなたの夢がすべてかないますように)
May the Force be with you.
(フォースが共にあらんことを)
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may (4) 譲歩の may (たとえ~であっても)
mayには『譲歩』の用法もあります。「そういう説も許可・容認する」→「譲歩」という感覚です。「開かれたドア」ですから、「そういう説も可能性が閉じられていない、邪魔しないで通します」というニュアンスです。ただし譲歩の may で述べられた内容は、直後に否定的に扱われます。「百歩譲って前提を認めたとしても、結論は変わらない」というわけです。
However you (may) love me, I can’t be with you.
(あなたがどれだけ私を愛していても、私はあなたと一緒にはいられない)
She may be rich, but she is unkind.
(彼女は金持ちかもしれないが、不親切だ)
Whatever they may say, I think you are right.
(彼らがなんと言おうが、私はあなたが正しいと思う)
●Be that as it may, … そうだとしても、ともかく、しかしながら、いずれにせよ
as を使った倒置文で、though構文(譲歩構文)と同じです。
よく出る例をあげると
「彼は若いのに物知りだ。」
Young as he is, he knows a lot of things. = Though he is young he knows a lot of things.
これと同じ倒置文です。
Be that as it may, … = Though it may be that, …
A: Gee, I'm so tired. (もうほんと、疲れたよ)
B: Be that as it may, we gotta finish this by tomorrow.
(それでも、明日までに、こいつ終わらせなきゃな)
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GRAMMAR IN ACTION~文法の実践~
mayの堅苦しい「許可」をしっかり練習しておきましょう。
①トイレを使ってもよろしいでしょうか?
May I use the bathroom, please?
toilet(便器)はストレートすぎる表現なので使われません。
アメリカ英語では、bathroom(家庭)、restroom(公共の建物)、イギリス英語では lavatory、口語で loo [lúː]が使われます。
②この機密ファイルにアクセスすることはできません。
「機密ファイル」は confidential files/ classified files
secret を使うとこどもっぽい感じになります。
③よかったらもうひとつケーキを食べてもいいよ。
You may have another piece of cake, if you like.
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Dialog 28 Reserving a Room on the Phone 電話で部屋を予約
ビジネスパーソン(B)が、部屋の予約を取るためにホテルに電話をしています。係員(C)との会話です。
Q. What sort of room has the man reserved?
男性が予約したのはどんな部屋?
B: 7月21日に1部屋1泊お願いしたいのですが。
C: 庭側1階のお部屋が空いておりますが。
B: それで結構です。
C: お名前をお聞かせいただけますか?
B: ピーター・ラビットです。
C: ありがとうございます。ご予約の保証にクレジットカードの番号が必要になりますが。
B: バニーカードの7017です。
C: 有効期限のお日にちはいつでしょう?
B: 12-25です。
C: ありがとうございます。ご予約番号は2383です。
B: I’d like a room on July 21 for one night.
C: We have a room on the first floor with a garden view.
B: Fine.
C: Could I have your name, please?
B: Peter Rabbit.
C: Thank you. I’ll need your credit card number to guarantee your reservation.
B: It’s Bunny card 7017.
C: What’s the expiration date?
B: 12-25.
C: Thank you. Your confirmation number is 2383.
★What’s the expiration date? 有効期限はいつですか?
情報を求める表現。有効期限や生年月日(birthdate)のようにdateを使った情報はWhat is ~?で尋ねます。休業日(day off )や誕生日(birthday)のような定期的なdayに対してはWhen is ~?を使います。
A: この食べ物はまだ大丈夫かしら
B: 有効期限はいつ?
A: 9日、昨日です
B: いいのでは。分かりませんが。
A: I wonder if this food is still good.
B: What’s the expiration date?
A: The 9th. Yesterday.
B: It should be okay. I don’t know.
私は1部屋を8月1日で予約をしています。
予約番号は2244です。
予約をキャンセルしなければならなくなりました。
I have reserved a room for August 1.
My confirmation number is 2244.
I need [have] to cancel my reservation.
A. It’s on the first floor with a garden view.