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HUITTさんの おぼえた日記 - 2024年11月11日(月)

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おぼえた日記

2024年11月11日(月)のおぼえた日記

※ caption : Ariwara no Yukihira by Peter MacMillan


11/11(月)
「立ち別れ稲葉の山の峰に生ふるー」

英語で読む百人一首 ピーター・J・マクミラン

不思議の国の和歌ワンダーランド 第16番

2022年6月03日 京都新聞デジタル所載





立ち別れ
いなばの山の
峰に生ふる
まつとし聞かば
いま帰り来む





(百人一首カルタでの英訳)


I will leave Mount Inaba
where a single pine tree
grows on the peak,
but if I hear that you pine for me,
I will come straight
home to you.

Ariwara no Yukihira


[現代語訳]

あなたとお別れして、私は因幡(いなば)の国へと去って行くが、その因幡の国の稲羽(いなば)山の峰に生えている松の名のように、あなたが私を待っていると聞いたならば、私はすぐにあなたのもとへ帰りましょう。


* 歌は新編国歌大観の「百人一首」を原本とし、表記は適宜、かなを漢字に改めています



💠 新訳

Though may I leave
for Mount Inaba,
whose peak is covered with pines,
if I hear that you pine for me,
I will return to you.





👘🪭⛰️🗻🗻🏔️🌲🌲🌲 

日英両言語で掛詞がはまった奇跡

今回の歌は、歌の良さを英訳でも再現できた。「いなばの山」は、因幡国(鳥取県)にある山で、「去(い)なば」が掛けられている。この歌の作者である行平は、斉衡(さいこう)2(855)年に因幡守になったという記録が残っており、因幡国への赴任に際して詠まれた歌という解釈が広く取られている。一方、赴任先の因幡国から京へ戻るときの歌という説もあるようだ。私は現代語訳の通り、最初因幡国へ赴任するときの歌だと思っていた。だが考えてみれば、因幡国の松のことを詠んだ歌を贈る相手としては、京都に残していく人々よりも、因幡国に残していく人々の方がふさわしいような気がする。前者の解釈なら「come straight home to you」、後者の解釈なら「go back to you」と英訳することになるが、新訳では原文同様、両方の意味に解釈できる余地を残して「return to you」と訳してみた。

「まつ」も「松」と「待つ」の掛詞(かけことば)で、『百人一首』を撰(えら)んだ定家の父である藤原俊成の歌論書『古来風躰抄(こらいふうていしょう)』においては、掛詞が過剰であると評されている。しかし、そうはいっても、この歌はやはり掛け言葉の熟練した技術が示された歌であると思う。

英語では同音異義語が少ないため、掛詞を再現するのはなかなか難しい。だが実はこの歌には、数少ない英語の同音異義語が用いられているのである。それは「まつ」で、英語の「pine」は日本語の「まつ」と同じく「松」と「待つ」という二つの意味を持っている。こうした、日本語と英語両方で掛詞となりうる語は、「まつ」「pine」のほかに今のところ見つけられていない。

英文学においても、古典作品に目を向けると、『聖書』をはじめ、シェイクスピアやルイス・キャロルが同音異義語を生かした表現を用いている。本連載のタイトルの由来にもなった『不思議の国アリス』にはネズミの言った「Mine is a long and a sad tale!」をアリスが聞いて、「tale」(物語)と「tail」(尻尾)を勘違いする場面がある。「tale」「tail」が同じ発音であることを生かしたのだ。だが、現代の英文学の詩ではあまり見られず、使うにしても子ども向けの歌や駄洒落に留まっている。例えば「clones are people two」は「クローンは二人目の人である」という意味で、誰かの複製に過ぎず人間ではないことを示す。だが、「two」は「too」と同じ音であり、「clones are people too」つまり「クローンも人である」とすればクローンにも人権があるのだと逆の意味にとることもできる。これはとても機知にとんだ言い回しである。

同音異義語大国の日本では、今でも謎かけやJポップなど、身近なところに掛詞が残っているのではないだろうか。例えばGReeeeNの「キセキ」は「奇跡」と「軌跡」が掛詞になっている。ポップスは音楽と言葉を一緒に味わうものだが、「和歌」と呼ばれる歌も元々は声に出して読むものであった。歌の文化の流れにおいて、両者はどこか繋8つな)がっているのだろう。





詠み人 中納言行平

ちゅうなごんゆきひら 在原行平。818〜893年。阿保親王の子(皇族)だったが、後に臣籍降下して有原姓を賜う。業平の異母兄。

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