おぼえた日記

2013年8月2日(金)

http://researchmap.jp/takeyama/mathreading/ 数学書の読み方について (竹山美宏)

「ノートをとりながら数学書を読みなさい」と学生さんに言うことがあるのですが、 言われた学生さんとしては、何をノートに書いたら良いのか分からないようです。 そこで、私なりのノートのとり方の提案をします。

(1) 本に出てくる定義・命題・補題・定理・系を、一字一句そのままノートに書きうつす。
自分なりにまとめたりせず、とりあえずそのまま書きます。 本に書いてあることを、わざわざなぜ写すのか、無駄に思えるかも知れませんが、 写すことでいろいろなことに気づきます。これはやってみると分かります。

(2) 登場している単語(用語)の定義を言えるかどうか、ひとつひとつ自分でチェックする。
もし言えないようなら、後ろに戻って復習します (ここをサボらないことが大事です)。 忘れてたとしても凹まないこと。それが普通です。 テキストの前の部分を読み直したり、別の本で調べたりする手間を惜しまず、 何度でも何度でも定義を復習するようにしましょう。

(3) 命題・補題・定理・系については、その仮定と結論をそれぞれまとめておく。
命題・補題・定理・系の多くは、「こういうときに」「こういうことが成り立つ」という ふたつの部分からなっています。前者が仮定で、後者が結論です。 テキストに書いてある内容のうち、どこが仮定で、どこが結論なのか、 それをきちんと押さえて、証明を読み始める前に、まとめてもう一度書いておきましょう。 仮定については、そこまでのテキストの内容の行間を読まないと分からないことがあります。

(4) 命題などの証明も、一文一文、ていねいに写し、一文ごとに「なぜそうなのか?」を確認する。
ここで絶対にやってはいけないことは、 自分をごまかして「なんとなく正しそうだし良いか」と納得してしまうことです。 既に証明した定理などが使われているのであれば、 その定理の仮定はいまの状況で満たされているのかどうか、確認します。 もし議論の展開が理解できないのなら、まず、命題の仮定をもう一度見直してみます。 そして、前の方を読み直したり、ちょっと先の方を読んでみたりして、じっくり考えましょう。 この考える時間が、もっとも数学の勉強になっているので、時間を惜しまず考えましょう。

(5) きちんと理解できたら、分からなかった一文に、自分なりの解説をつける。
この解説は、その時点での自分のために書くのではなく、 将来その本の内容を忘れてしまっているかも知れない自分が、ノートを読み直して分かるように書きます。 自分を気づかって書くのだから、誰の目を気にすることなく、うんと易しい説明をしてあげましょう。

以上の作業を続けていけば、本の行間が埋まった自分だけの分かりやすいノートが出来あがります。 それを目指しましょう。

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