Lesson 99「指定」と「説明」: 位置がすべて
今月最後のレッスンは、位置の大切さを改めて確認します。
Prof. Peacockの講演のあと、Rebeccaが教授に次の本について質問をします。
P: 残念ですが、時間がなくなりかけているので、聴衆の皆さんから2つか3つだけ質問をお受けします。はい、最前列で手を挙げている女性の方。
R: すばらしい講演をありがとうございました、ピーコック教授。私の名前はレベッカで、先生の本の大ファンです。
P: どうもありがとう、レベッカ。
R: 先生の次の本は、何についてのものになりますか?
P: ああ、それを知るには、その本を読まなければいけませんね!
P: Regretfully, we’re running out of time, so I’ll take just a couple of questions from the audience.
Yes, the lady with her hand up in the front row.
R: Thank you for that amazing lecture, Professor Peacock.
My name is Rebecca, and I’m a huge fan of your books.
P: Thank you very much, Rebecca.
R: What is your next book going to be about?
P: Ah, you’ll have to read it to find out!
□regretfully 残念ながら
□run out of ~ ~がなくなる
□row [róu ] (横)列 / (船を)漕ぐ
cf. 縦列 file / column
・row [ráu] 口げんか、騒ぎ
・raw [rɔ́ː] 生の、擦り傷
FOR DEEPER UNDERSTANDING~より深い理解へ~
The lady with her hand up in the front row.
(最前列で手を挙げている女性の方)
her handとupの間に「説明ルール」の意識が見えましたか?ただ並べるだけで「彼女の手が挙がっている」という文内容的な意味になるのです。
REAL GRAMMAR FOR COMMUNICATION~会話に役立つ文法~
Regretfully, we’re running out of time.
(残念ですが、時間がなくなりかけています)
regretfullyは「残念」を表す副詞ですが、ここでは文頭に置かれていることに注意しましょう。文頭は文全体の内容を指定する位置でしたね。そのため「残念ながら~」と、以降の内容が残念なものであるとあらかじめ指定することになるのです。
今月学習した以下の文と同じ働きです。
To tell the truth, I’m not good at math.
(実は、私、計算が苦手なの)
それでは次の文で同じ単語 regretfullyはどんなふうに働いているのでしょう。
“I’m afraid we’re running out of time,” he said regretfully.
(「時間がなくなりかけています」と、彼は残念そうに言った)
regretfullyが動詞saidの後ろに置かれたこの文では、regretfullyは動詞の「説明」として働いています。「『残念そうに』言った」ということになります。英語は、文中の位置によって表現の意味が了解される、位置がすべての「配置の言葉」です。だからこそ、この講座では「基本文型」「修飾の語順ルール」を徹底的に解説してきたのです。面白い例をご紹介しましょう。
He speaks so slow. (彼は話すのがすごく遅い)
Think different. (人と違った考え方をしなさい)
もちろん文法的に正しいのはそれぞれHe speaks so slowly. / Think differently.ですが、これでも十分伝わります。動詞の後ろに出てきたら当然slow / differentはその説明として働くため、-lyをつけて副詞だと示さなくても意味が通じる、それがこうした言い方が生まれる理由です。英語は徹頭徹尾、配置の言葉。今月それを理解した皆さんに、英語を学ぶうえでの障壁はもうありません。あとはいろいろな表現形式を身につける作業だけなのです。
GRAMMAR IN ACTION~文法の実践~
副詞の配置に注意して、練習してください。
①真面目な話、もっとたくさん練習する必要がありますよ。
Seriously, you need to practice much more.
文頭のseriously(真剣に・本気で)は、文全体の指定です。
②もっと真剣に練習しなければならないよ。
「もっと真剣に」は much more seriously、まとめて覚えてください。
You need to practice much more seriously.
practiceの後ろに much more seriouslyが配置され、その説明になります。
practice much more seriouslyで「もっと真剣に練習する」です。
③子どもたちはまだ楽しそうに公園で遊んでいた。
The children were still playing happily.
④幸運なことに、誰もけがをしなかった。
Happily, no one was injured.
⑤言いづらいんだけど、プレゼンテーションの間、君のチャックが開いていたよ!
I hate to tell you this, but your fly [zipper] was open during your presentation!
言いづらいことを切り出すフレーズはたくさんあります。
I hate to tell you this, but ... (言いづらいんだけど)
I hate to say this, but... (こんなことを言いたくないんだけど)
I hate to ask this of you, but... (実に頼みにくいことなのですが)
I hate to be the one to tell you this, but….
(このようなことはお伝えするのはいやなのですが)
I hate to be the bearer of bad news, but….
(悪い知らせを伝える役目はつらいですけれど)
I hate to rain on your parade, but ... (水をさすようで恐縮ですが)
I hate to bother you, but ... (お忙しいところ申し訳ありませんが)
I hate to impose, but ... (ご無理をお願いしたくはないのですが)
I hate to seem pushy, but …
(厚かましく見えるのはいやなんだけど、せかすようでいやなんだけど)
I hate to rush you, but….
(お急がせるようで心苦しいのですが)
I hate to be a burden on you. but …
(君たちのお荷物にはなりたくないのだが)
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独断・ひとりよがりの英文法
You’ll have to read it to find out!
(それを知るには、その本を読まなければいけませんね!)
もちろん、willがない形のYou have to read it to find out!でも、まったく問題ありません。
「未来 + 義務」という意味では be going to have to do~としても同じです。
You are going to have to read it to find out!
感覚の違いだけです。You’ll have to read it to find out! にすると「押しつけがましさ」がなくなる感じがしますね。これは、willの「予測(~だろう)」と考えてもよいでしょうし、「意志」のwillが入る効果で『あなたの意志で決めていいんですよ』というニュアンスが加わるからとも思えます。
注意しなければいけないのは、must be going to do ~とすると意味が違ってくることです。
このmustは「強い確信(~にちがいない)」の意味になります。
Lesson 69 must (2) 強い確信
/mypage_172851/diary/2018-07/12.html?m=1
You must be going to have to read it to find out!
(それを知るには、その本を読まなければならなくなるにちがいない)
ちょっとややこしいので、次の例文を。
I will have to go to a classical concert with you but I must be going to fall asleep as usual.
(きみとクラシックコンサートに行かないといけませんね、でも、ぼくはいつもどおり寝ちゃうに決まってるな)