Episode 66 ジェーンのゲストハウスの最終日、カフェスペースではマイクたちが談笑しています。ジェーンはカウンターの後ろに紙袋をそっと置きます。
Jane: (息を吐き辺りを見回す) 今日で終わりか。もっとここにいたかったわ…。
I guess that’s it.* I wish I could stay longer…
(そこへ早苗が現れる)
Sanae: ジェーン、お願いがあるんだけど。
Jane, I have a favor to ask you.*
Jane: What?
Sanae: ゲストの部屋の電球が切れちゃったの。ちょっと買ってきてくれないかな?
The light in one of the rooms burned out. Do you think you could go and buy one?
Jane: 私が?今から? Me? Right this minute?*
Sanae: お願い。 If you could…
Jane: (ため息をついて) OK.
(出て行くジェーンを見送り、マイクたちが目配せをする)
(戻ってきたジェーンが入り口の手前で独り言)
Jane: 最後の日だっていうのに私をお使いに行かせるなんて。無神経なんだから。
Making me run an errand on my last day… the nerve.*
(ドアを開けて) ただいま! I’m back!
(クラッカーが鳴る)All: Surprise!!!
Jane: 何?どういうこと?What is this?
Sanae: ジェーンのパーティーよ。今日まで本当にありがとう。
It’s for you, Jane! Thank you so much for everything.
Jane: Sanae… you guys…
●I guess that’s it.
「これで終わりかな」といった意味です。guessは「推測する」で、I guess…を直訳すると「~だと推測する」となりますが、「どうも~みたいね」という意味で使われています。That’s it.は「これで終わり!」「以上!」という意味の慣用表現です。thatもitも何かを指しているわけではありません。
●I have a favor to ask you.お願いがあるんです。
この場合のfavorは、「親切な行為」ということです。a favor to ask youは「あなたにお願いしたい(親切な)こと」で、フレーズ全体で「あなたにお願いしたい(親切にしてもらわねばならない)ことを私は持っている」という意味です。
have a favor to askのほかに、ask a favor(頼み事をする)という言い方もあります。Can I ask a favor? (お願いをしてもいいですか?)といった使い方をします。
「大きなお願い事」であれば、a big favorです。
favorには少し儀礼的なニュアンスがあり、改まった感じがあります。そもそも親しい間柄やカジュアルな場面であれば、このような前置きをすることもなく、Hey, can you…?などとお願いするだろうからです。少し改まった場面にはふさわしい表現です。
●Right this minute?
「今、このタイミングで?」と言っているのですね。
ジェーンの心情としては、「今日は最後の日なのにお使いに行かせるの」と、驚き、あきれているようなところでしょうか。
this minuteのminuteは本来「分」ですが、ここでは「今、このとき」という意味合いになります。rightはさらにそれを強調しています。
●Making me run an errand on my last day… the nerve.
・errand [érənd]は「屋外での短距離移動を伴う使い、用足し、用事」です。
run an errand (for ~)で「(~の)使い走りをする」
・nerveは「神経、ずうずうしさ、ずぶとさ、度胸」
The nerve! 迷惑だなー!横柄なやつ!生意気なやつ!
Of all the nerve! (ずうずうしいぞ!)
You've got a lot of nerves doing ~. ~するとは度胸があるな。
You've got your nerve. (ずうずうしいね)
I don’t have the nerve. (そんな勇気はない)
That takes some nerve. (それは勇気が要りますね/ それはずうずうしいですね)
・lose one's nerve おじけづく、気後れする
・get on ~’s nerves で「~の神経に障る、~をイライラさせる」
It really gets on my nerves. イライラするわ!