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スッキリ!初めてのドイツ語 語順と動詞の位置 Donnerstag, 5. Mai
第5回 中級への道、ドイツ語の語順と動詞の位置
① 語順と動詞の位置
ドイツ語の語順は日本語に似て柔軟である。
Ich habe gestern von einer Freundin einen Brief bekommen.
私は昨日女友達から手紙を一通受け取った
この文を副詞や前置詞句を先頭に置いて Gestern habe ich …. や Von einer Freundin habe ich …. のように言ったり、4格目的語を前にもってきて Einen Brief habe ich …. と言ったり、さらには過去分詞を前において Bekommen habe ich …. のように言ったりすることができます。だから簡単と捉えるか、難しいと思うかは人によりますが。
▶ 定動詞の位置はいつも2番目である
とはいえ、どんな語順でもいいわけではない。語形変化した動詞、定動詞の位置には3つのタイプがある。主語S、定動詞V、目的語O で表すと、まず、上の例のように SVO の型がある。この型は上の例のように目的語を文の最初にだす OVS も可能である。ここで重要なのは文頭に O などが来ることがあっても、V は変わらず2番目だということです。(ここで言う V は定動詞のことで、上の例で具体的な意味を表す動詞野過去分詞 bekommen のことではない)この定動詞が2番目に来るタイプを SVO タイプとする。
Bleibst du noch hier? 君はまだここにいる?
定動詞が先頭にくる VSO タイプ
さらに SOV タイプもある
Ich vermute, (dass der Mann ein echter Tater ist.)
私は(その男が真犯人だと)推測する
② 定動詞が2番目の SVO タイプ
Ich lerne jetzt Deutsch. 私は今ドイツ語を学んでいます
このタイプは文が独立した平叙文であること表す。英語と共通している。ただドイツ語では先に述べたように定動詞の前にいろいろな文の要素を持ってくることができる。また完了形の過去分詞や話法の助動詞と現れる不定詞が文の最後に置かれるなど、英語と大きく異なっているところもある。
▶ ドイツ語が文の要素をかなり自由に定動詞の前に置くことができるのは、例えば OVS になっても、格によって O が目的語である分かることが一因であると考えられている。格を明示すると語順が柔軟になる、日本語もその1つである。
▶ このタイプは独立した平叙文である
イントネーションによって疑問文、あるいは命令文のように解釈される場合もある
Du kommst morgen auch mit.
君も明日一緒に来る
→ Du kommst morgen auch mit?
明日君も一緒に来るよね?(疑問に解釈)
→ Du kommst morgen auch mit!
君も明日来いよ!(命令のように解釈)
③ 定動詞が先頭の VSO タイプ
Hast du Geschwister? 君は兄弟いるの?
このタイプの語順 VSO は通常はその文が ja や nein で答えられる独立した疑問文であることを表している。定動詞を先頭に置くことで疑問文をあらわしているのは英語と共通している。
Do you have any brothers or sisters?
●do が先頭にくるのでVSO タイプといえる
アラビア語などはこの語順で平叙文だそうだ。動詞を先頭において疑問を表すという方法は実は世界では極めてまれだそうだ。ドイツ語やイギリス語、ゲルマン語にしか見られないそうだ。
世界の疑問文の標準は日本語のように「(です)か」のような疑問の標識を加えたり、ロシア語やハンガリー語のようにイントネーションで疑問を表す。
▶ VSO タイプは条件を表すのにも使う
Regnet es draußen, bleiben wir zu Hause.
外で雨が降っているなら、家にいよう
●bleiben [bláIb°ənブラィベン](+場所)~にいる remain, stay
定動詞が先頭に置かれることによって wenn を用いた文のように条件が示される。
この機能は疑問の機能から生じたと考えられる。「雨が降るの?なら家にいよう」は「雨が降るなら、家にいよう」とだいたい同じである。疑問文は話し手がその真偽についてわからない出来事を聞き手に尋ねるものだ。条件文も真偽が分からない出来事を「雨が降るなら」のように仮定する。どちらも未決定の出来事に関わります。この類似性により、疑問文が条件文として解釈される余地が生まれた。
定動詞が先頭に来るという点では
Sprich bitte noch ein bisschen langsamer!
もうちょっとゆっくりはなして!
これも同じタイプに見えるが、通常は主語S がなく、動詞も命令形になるという点で、このタイプの変わり種とみる。
④ 定動詞が後置する SOV タイプ
定動詞が最後に置かれるSOV タイプ、この語順は日本語に似ている。
Ich weiß nicht, ob Jürgen recht hat.
ユルゲンが正しいかどうかわからない
●ob [ɔpオプ] ~かどうか if, whether
Da steht ein Mädchen, das lange Haare trägt.
あそこに長い髪をした女の子が立っている
のように、先頭に置かれた接続詞や関係代名詞などと一緒に、その文が独立していない文、ほかの文や文の要素に従属した文だということを表す。従属文であることは先頭の接続詞などからわかる(英語と同じ)。独立した文と従属文で語順が違うという言葉は、世界的に見ても例がないそうだ。(珍言語)
▶ SOV が独立した文のように使われることもある
Das ich das vergessen habe!
私がそれを忘れるなんて!
●vergessen [fεrɡέsənフェァゲセン](…⁴を)忘れる
これは感嘆と解釈
Dass du mir nicht zu spät heimkommst!
遅くならないうちに家に帰ってくるように!
●heimkommen [háImkɔmən] 帰宅する
▶ 話ことばでは従属を表す接続詞が使われているのに SVO タイプの語順のときがある
Das ist interessant, aber auch stressing, weil es dauert doch ein halbes Jahr.
それはおもしろいけれどストレスでもある、だって半年も続くからね。
●weil [vaIlヴァイル] (従属;定動詞は後置) ~なので because
weil のあとの文で動詞が2番目に来ている。これは、weil が denn のように前の文に対する理由づけの機能を持つためだとされている。
●denn [dεnデン](並列;(先行する叙述の根拠・理由を挙げて) というのは~だ
denn は SVO タイプの語順と使われる。
ドイツ語の語順は自由にみえるが、語順のタイプがしっかりと決まっていて、その上でいろいろな配置が可能になるといえる。