おぼえた日記

2024年1月20日(土)

★発音されない/h/と聞き取るべき/h/

landの後ろの単語に注意して、ニュースの冒頭を聞いてみましょう。
experts say the earthquake caused land upheavals of more than two meters

upheavalsは「隆起」で、今回のニュースのキーワードです。
ニュースキャスターは、upheavalの真ん中のエイチの音である/h/を落とすようにして、「アピーヴァル」のように発音しています。このように、単語の真ん中に出てくる/h/は、自然な発話では明確に発音しないということがよく起こります。
「(動物などがある場所に)住む、生息する」という意味のinhabitも、「イナビットゥ」のように/h/が発音されない場合があります。

一方で、この/h/の音は、聞き分けのときにとても重要な役割を果たすことがあるんです。
例えば、つづりには現れませんが、peace talk「平和会談」とpea stalk「エンドウ豆の茎」を聞き分けるときにも、この/h/の音があるか無いかが関係しています。

つづりに現れないこの音の特徴を「気音」などと呼びますが、peace talkの場合、talkの/t/の後には気音の特徴がはっきりと現れます。
/t/の後に息が多く使われます。/t/の後に息が漏れていますね。これが気音です。そして気音があることによって、/t/が少し長く感じると思います。
発音する場合をイメージしてみましょう。ティッシュペーパーなどの薄紙を口の前にかざし、talk, talkと発音すると、ティッシュがふわっと持ち上がります。これが気音です。

一方、pea stalk「エンドウ豆の茎」の場合、stalkの/t/では気音はほとんど現れません。/t/で、息がtalkよりも漏れません。
発音する場合をイメージしてみると、こちらでは、ティッシュはほとんど揺れません。

これは、つづり字sの後の/p/、/t/、/k/(無声破裂音)では気音を伴わないという英語特有の特徴があるからなんですね。stalkも、sのすぐあとにtがありますよね。つまり、同じ/t/でも、環境によって違った特徴を持つ/t/になるというわけです。

peace talkとpea stalk、多くの人は間があるか無いかで判断すると思っているのですが、実は違うんですね。特に自然な速いスピードで読まれるときには、間が無いことも多いのです。そんなときには、今回の気音の有無を手がかりにして判断しましょう。
もちろん、「平和会談」と「エンドウ豆の茎」が同じ話の中に出てくることはほとんどないのですが、聞き取りが難しいと感じませんでしたか。
音声学の研究では、英語を母語とする人が、この気音の有無で単語と単語の境目を聞き分けているといった研究結果もあり、単語の聞き分けの重要なポイントなんですね。

このように、upheavalに現れる音素の/h/も、talkのようにつづりに現れない気音の[h]も、息と表現できるくらいはっきりとは聞き取りづらい音なのですが、意味の違いを生む大事な特徴でもあります。

意識して聞いていると、聞き取りの力が格段にアップするかもしれませんよ!

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