中学レベルの英文法を基本から復習する 句動詞 Sunday, June 17
その77 句動詞における空間詞の働き
putやtakeなどの基本動詞は、それ自体でも意味の可能性が大きく、表現される状況は多様です。意味範囲の大きい基本動詞に副詞を結合することで、更に意味を拡張するはたらきがあります。takeだけでは「裾の長さを詰める」という状況は表現できません。しかしtake upとすることで「裾の長さを詰める」という意味が生まれます。Giveだけでは「諦める」という意味はありませんが、give upとすることで「諦める」という意味を表せます。
副詞にはもうひとつのはたらきがあります。基本動詞は意味があいまいで、その解釈は文脈に依存することが大です。しかし、副詞を付加することで、曖昧な意味を鮮明にすることが可能になります。cut itだけでは「切り離した」のか「切り込んだ」のか曖昧なままですが、cut it offだと「切り込む」cut it inだと「切り込む」の意味合いが鮮明になります。
句動詞の空間詞(副詞)には、動詞の意味を拡張するはたらきと意味を鮮明にするはたらきがあります。
句動詞の意味のタイプ
A. 空間詞で表された状態になる:come、go、run、turn、fall、pass
B. 空間詞で表された状態にする:bring、put、let、get
C. 空間詞で表せれた状態を保持する: hold、keep、stay
D. 動詞で表された行為を行い、空間詞で表された状態にする(なる)
take、break、cut、strike、knock、blow、pull
例えばcome upだと「upの状態になる」(Aタイプ)、bring upだと「upの状態にさせる」(Bタイプ)、そしてhold upだと「upの状態を一時的に保持する」(Cタイプ)となります。Dタイプは「ある行為をして、空間詞で表された状態にする(なる)」という手続き的な意味合いがあります。take upだと「何かをtakeしてupの状態にする」となります。
動詞+ up の例
The question of wage increases came up at the last meeting.
賃上げ問題が前回の会議で出た。
●come up → upの状態になる(A タイプ)
A good salesperson never brings up price until the last moment.
有能なセールスマンは最後の時まで価格のことは持ち出さない。
●bring up → upの状態にする(Bタイプ)
She held up a rifle and shot at the target.
彼女はライフルをかまえて、的を撃った。
●hold up → upの状態を一時的に保つ(Cタイプ)
We must take up the issue at the next meeting.
次回の会議ではその問題を取り上げねばなるまい。
●take up →手にして、upの状態にする(Dタイプ)
動詞+ back の例
My memory came back. 記憶が戻ってきた
●come back→ backの状態になる(Aタイプ)
The doctor brought my memory back.
医師が私の記憶を戻してくれた
●bring back→ backの状態にする(Bタイプ)
Don’t hold back your anger. 怒りをこらえるな
●hold back→(前にでないように)backの状態を保つ(Cタイプ)
I take back what I said. 言ったことを取り消すよ
●take back→ 何かをtakeしてbackの状態にする(Dタイプ)
句動詞の中で圧倒的に多いのが(Dタイプ)です。
4つの意味タイプで説明できない場合
動詞の使い方によっては同じ動詞でも意味タイプが異なるものがあります。
run down の用法
downの状態に途切れなく動いてなる→ Aタイプ
途切れなく動いて(動かして)downの状態にする(なる)Bタイプ
The police ran down the criminal in the alley.
警察は犯人を裏通りに追い詰めた
●走って、犯人をおさえるdown状態にした(Dタイプ)
The battery is running down. 電池が切れそうだ
●電池がdown状態になる(Aタイプ)
もうひとつA~D以外に「副詞で表された状態で動詞で表された行為をする」というのもあります。空間副詞がover、やalongのように、経路の意味がある場合に顕著です。
run over の例(前置詞と副詞のover)
The water began to run over the embankment.
水は堤防を越えて溢れだした
Even though his speech run over, no one seemed to care.
彼のスピーチは時間を超越して誰も気にとめる風ではなかった。
take over
He took over from James as a language teacher.
彼は語学教師としてジェームスの職を引き継いだ
●誰かから何かを自分のところに取り込むという移動工程をoverで表現
The joint venture company took over the struggling small firm.
そのベンチャーの会社は悪戦苦闘している小さな会社を合併した
●何かをtakeして、overの状態(支配)にする(Dタイプ)
異なった意味合いの背後にある共通のイメージ
hold back の使い方
共通イメージ:何かが前に出ない状態に一時的におさえておく
他動詞:控える、おさえる、妨げる、隠す
自動詞:ためらう
hold back 「backの状態に何かを一時的におさえておく」というもので、前にでていこうとするものをおさえておくという感覚があります。「前に出る」前進するというだけでなく、「表出する」「表す」といった意味合いも含まれます。
The guards are trying to hold the crowd back.
●前進するのをおさえようとしている
I couldn’t hold back my anger.
●感情の表出をおさえる、怒りが前にでる→感情を表す
The dam holds back the water. ダムは水をせき止める
If your friend is really ambitious, don’t try to hold him back.
本当にやる気に燃えているのなら、彼を止めようとしない方がいい
表出するものをおさえる→本当のことを話して欲しい、何も隠さないで
I want you tell me exactly what happened. Don’t hold anything back.
あるものが前にでないようにおさえる→控える、おさえる、妨げる、隠すという意味合いでhold backが使えます。
hold backの自動詞の用法「~するのをためらう」
I’m sorry. I wanted to help you, but I held back.
ごめん。助けたかったんだが、躊躇してしまった
怒りをおさえる、hold back以外にもhold downやhold inが使えます。
Hold down your anger. 怒りが上にでないように下におさえておく
Hold in your anger. 怒り表にでないように内におさえておく
空間詞によって微妙な差異を示すことができます。
鳥や魚の目がほぼ360度見えています。人間で言うと耳あたりに目があります。前と横はもちろん、上(上空)下の方も見えています。でないと空を自由に飛べません。風鈴の鳥の写真は真正面から撮った写真が割と多いです。サギやカルガモも正面から撮った写真がいくつかあります。普通は鳥と目が合うと飛んでいきますよね。不思議な写真だと思います。風鈴の奇跡の一枚です。
ガラス越しですが、カメラとスズメとの距離は1.5メートル位しか離れていません。
正面からカメラを見て「あれは何だろう?」って思っているのでしょうか。可愛いですね。