受動態以外の受身表現
受動態を使わずに、「不定代名詞 on」または「再帰代名詞」を使っても、受身のような意味を表現できる場合があります。
つまり、受動態はこの 2 つの表現を使って書き換えられる場合があります。
1. 不定代名詞 on を使う
上の「受動態の複合過去」で取り上げた例文は、受動態(être + p.p.)を使わずに、次のように不定代名詞 on を使って表現することもできます。
On a construit cette église au XIIIe siècle.
この例文については、「不定代名詞 on」の項目で、まったく同じ例文を出していますので、説明はそちらに譲ります。
2. 再帰代名詞を使う
この項目は、再帰代名詞のページを見てから、また戻って読んでも構いません。
まず、受動態を使った例文を挙げます。
Ce livre est composé de six chapitres.
「Ce」は「この」。「livre」は「本」。「est」は助動詞 être の現在形(3人称単数)。「composé」は「composer(構成する)」の過去分詞(p.p.)。「être + p.p.」で受動態になっています。
「six」は「6つ(の)」。「chapitres」は「chapitre(章)」の複数形。
もともと「composer」という動詞は、「composer A de B(A を B で構成する)」という使い方をします(第5文型を作る動詞です)。これを受動態にすると、直接目的の「A」が主語になり、「A est composé de B(A は B で構成される)」となります。この例文では、「Ce livre」が「A」、「six chapitres」が「B」に相当します。全体で、「この本は 6 つの章で構成される」となります。
この文は、再帰代名詞を使って、次のように言うこともできます。
Ce livre se compose de six chapitres.
再帰代名詞の「se」は、簡単に言うと「自分」「自ら」と訳せます。
さきほどの「composer A de B」は、再帰代名詞を使うと、「A」が再帰代名詞「se」に変わり、「se composer de ~(自らを~で構成する)」となります。
逐語訳すると、「この本は自らを 6 つの章で構成する」、つまり「この本は 6 つの章で構成される」と同じ意味になります。