ここ数年、春になると、「鶴瓶の家族に乾杯」の笑福亭鶴瓶師匠が、2時間ひとりで
リアルなことだけをしゃべり続ける鶴瓶噺に行く事が、新年度開始の楽しみになって
います。どうしたら、あんなにうまく、たったひとりで、観客を2時間エンタテインできる
のだろうと思います。
春風亭昇太師匠、立川志の輔師匠を始め六人の会のメンバーの師匠や、SWA
の師匠方、三遊亭小遊三師匠、三遊亭遊雀師匠、三遊亭遊馬師匠の高座に
よく足を運びますが、どうやってマクラから当日の題目に結びつけるのかという妙味を
楽しみながら、人前で話すときの参考にしたいという思いがあるのかもしれません。
企業や大学でのプレゼンテーションでは、ほとんどの場合、パワーポイントがあり、
資料や映像を見せながら話をすることが多いわけですが、落語(といっても、
昇太師匠や志の輔師匠の高座や鶴瓶噺では、映像が使われること
もあるのですが)の場合は、基本的には言葉と身振り手振りで、
観客に描こうとする世界を想像してもらうわけで、どうしたらそうできるのか、
高座に通い、自分なりにその極意を爪の垢ほどでも修得できないかなと
思っています。
先日、同窓会のことを書きましたが、今年の鶴瓶噺で、ICTの発達について
考えさせられることがありました。一般発売は来週なのですが、今日は先行の
発売がありました。朝からずっとコンピューターの前に陣取り、発売を待ちました。
10時きっかりにログインしたのですが、希望の曜日の土曜日に辿り着いた時には、
すでに満席Xになっていました。
チケットは、昔は深夜・早朝から販売店の前に並ぶか、電話でセンターに電話をするか
(それも携帯電話の普及で回線が大幅に増加し、一発でつながることは、ほとんどなくなり
ましたが)、今やネットの時代になりました。
その昔、渋谷にジャンジャンという小劇場がありました。すてきな空間でした。
チケットの発売の日には朝から多くの人が全席自由席のチケットを確保するために並び、
演劇・トークショー・コンサートの当日には、またよい席を確保するために、早くから
劇場入り口の地下に通じる階段に並ぶという光景が繰り返されておりました。
これぞFirst come, first served.ではなかったのかなと思います。
電話もネットでも同じでは?と言われるかもしれませんが、並ぶ想い、つまり
アーティストへの思い入れがこちらの方が、リアルな感じがしてなりません。
不調に終わった先行予約、ある意味、アナログな私は、来週は、
早起きして窓口に並ぼうかなと、ひそかに考え始めています。