
2012年3月 4日 (日)
リーディング教材、興味か難易度か
リーディングの効果 私の周囲でTOEICの受験経験のある人たちにリーディング、リスニングのスコアについて聞くと、「リーディングよりもリスニングのほうがスコアが高い」というケースがかなり多いです。 かくいう私はリーディングのほうがずっとスコアが高く、しかもここ数回はリスニングのスコアはほとんど変わらずにリーディングだけが伸びています。どうやらこれは少数派であるよう。 昔から本を読むのは好きでしたので、言葉が変わってもやはり話すよりも読むほうがずっと好きですし、好きなことは得意になります。 過去に何回か書きましたが、英会話教室での会話がかなりスムーズになり始めたのも、ビジネス英語のクラスで相当量の英文を読み続けた時期でした。特段に、「会話」の訓練をしたことはなく、分量を多く読んだ結果として使える単語や表現が増えたのが、その理由だったと思います。 どうも中学高校での英語の授業が良くない思い出となっているかたが多いのか、「読み」中心の語学学習はあまり評判が良くないようです。 けれど、最終的には自分の考えや気持ちを表すための語彙や表現の幅がなければ会話にはならないわけで、その語彙を増やすための学習方法として、「読み」にもある程度の有効性があることは、間違いないと思います。 関心がないものは読めない 先日来、テレビを観ているとスマートホンで読める英語多読のアプリの広告を見かけることが増えています。短いCMだけではこのアプリの内容はわかりませんが、とにかく100万語相当の以後を読むと、飛躍的に英語の力が上がるのだとか。 この手の「画期的な教材」の話は、私はまず眉につばをつけて聞くようにしているのですが、それでも100万語もの(長編小説が3〜5万語くらいとすると、20〜30冊です)英語を読み切れれば、たしかに語彙力も表現力も高まるでしょう。 ここで問題なのは、「どうやったら100万語ぶんの『関心の持てる』コンテンツを選ぶか」でしょうね。 普段ミステリーなどには無関心の人ならば、シャーロック・ホームズを読んでも楽しめないでしょう。英語の勉強だからといっても、関心のないジャンルの本を読むのは苦痛でしかありません。 私は英語学習を始めた3年目くらい、なので2005年くらいにほぼ毎月1冊のペースで英語の本を読んだ時期があります。ジャンルは経営とかマーケティングの本がほとんどで、100万語には届かなかったでしょうが、それでも30万語くらいにはなったでしょうか。 自分なりに関心のある分野だったから、なんとか読めたものの、難易度としてはそこそこ高かったろうと思います。 英語多読といっても、「関心が持てて」かつ「自分の英語力にあった」コンテンツを選ぶのは、なかなか難しいものです。 一般紙とタブロイド紙 先日、ドイツ語教室の題材は「ドイツの新聞と雑誌」でした。 見本としてさまざまな新聞雑誌が配られたのですが、やはり新聞には政治経済や社会問題を扱う一般紙と、ゴシップや風俗記事中心のタブロイド紙とがあります。 私は普段、通勤電車で夕刊紙を読んでいる人を見かけても「いったいなにがおもしろいんだか」と思うほうなので(だいたい、あからさまなポルノ記事をよくまあ人前で読みますよね)、言葉がドイツ語になってもタブロイド紙にはあまり興味が持てません。 けれど、いざ記事を読みはじめてみると、一般紙は文章が長くてわからない単語も頻出するのに対して、タブロイド紙のほうは記事そのものが短く、しかも難解な単語があまり登場しません。座礁事故を起こした客船のイタリア人船長とその愛人とされる女性について、いろいろと情報を仕入れることができました。 一言でいえば、ラクに読めるのは興味のない新聞、興味があるほうは辞書なしでは意味がとれないことも多くて、いまの私にはちょっと無理そう。 語学学習のためにゴシップ記事に関心を持つというのもなんだか本末転倒。 でも、自分の関心領域の文章を読もうとすると、実力不足が明らか。ちょっと難しい状況です。子供向けの科学雑誌でも読んでみれば、良いのかもしれませんけど。 |
2012年3月 7日 (水)
Götterdämmerung
5時間28分 映画館でオペラの舞台を上映する、「METライブビューイング(MET LIVE IN HD)」はもうすっかり日本でも定着し、少なくとも土日には劇場がほぼ満席となることが珍しくありません。 今年も予定されていた11作のうち8作目と、終盤に入ってきました。春になるとオペラハウスの2011/12シーズンもいよいよ大詰めです。 第8作目は、昨シーズンから2作ずつが上映されてきた、リヒャルト・ヴァーグナーの大作「ニーベルングの指環」のラストを飾る第3夜「神々の黄昏」でした。 上演時間が、休み時間を含めて5時間28分。今時これだけの長時間を映画館で座って過ごすことはそうそうありませんね。 とはいえ、かつて指揮者のジェームズ・レヴァインがバイロイト音楽祭で同作を振った時には休憩を除いて5時間以上かかったことがありますし、今回の映画館上映も当初は6時間以上との情報だったので、これでもだいぶ短くなったということでしょう。 神々の黄昏 表題は、ヴァーグナーによるこの作品のタイトルですが、日本語では「神々の黄昏」と訳されます(「たそがれ」とひらがなになることも多い)。 この日本語に対応する言葉としては、ドイツ語の「Götterdämmerung」以上に「Ragnarøk(ラグナロク)」がゲーム等で有名ではないでしょうか。これはスカンジナビア半島やアイスランドで使われていた古ノルド語の言葉だそうです。 ドイツ語のほうに戻ると、「Götter」は「Got」の複数形ですから「神々」で、「Dämmerung」は「夕暮れ」を表します。したがって、「神々の黄昏」はまさに直訳でもあり、同時にタイトルとしても非常に憶えやすく良い訳ともいえますね。 これが英語になると「The twilight of Gods」となり、日本人の私からは今ひとつ緊張感がないというか、壮大な物語の終幕にふさわしい響きが感じられません。英語を母語とする人には、どう感じられるのでしょうか。 もっとも、ドイツ語をカタカナで表記してしまうと「ゲッターデンメルンク」となり、なんだか巨大ロボットアニメみたいになっちゃいます。 ひょっとして、あのエネルギー源である宇宙線「ゲッター線」って、「神々の宇宙線」だったんでしょうかね。 上演は大成功 さて、肝心の楽劇「神々の黄昏」ですが、まずは大成功といえるのではないかと思います。 主役の二人(ブリュンヒルデとジークフリート)は友にこの役を初めて歌ったということですが、ソプラノのデボラ・ヴォイトはかなり体を絞りつつトレーニングを重ねたことが伺われ、最後まで力強さが失われない見事なブリュンヒルデでした。 一方、前作の「ジークフリート」で、本来の歌手の降板によって急遽大役が回ってきたジェイ・ハンター・モリスも、今回は準備ができたというだけあって、序盤の不安定さはあったものの、非常に生き生きとした「ジークフリートらしいジークフリート」だったと思います。 この作品、とくに第3幕は1時間半近くの長さをまったく感じさせない緊張感の連続で、音楽も大変すばらしいものです。 土曜日に映画館を出た直後から、何度も何度も音楽が頭の中で回ってしまい、いったい何度ジークフリートの葬式をやったかわからないほど。 北欧神話のラグナロクでは、オオカミや大蛇が神々と壮絶な戦いを繰り広げたのちに世界の終演が訪れます。 一方、ヴァーグナーによる「神々の黄昏」では、ブリュンヒルデが呪いの指環をラインに返し、自らはジークフリートの亡骸とともに炎で焼かれることにより、その自己犠牲の炎が神々の住むヴァルハラ城を含む世界を焼き尽くし、呪いから解き放たれ浄化された世界を取り戻す力となります。 最後には愛が勝利するわけで、なんだか力業でごまかされたようにも感じられるのですが、音楽の持つ迫力に押されて細かいことはどうでも良くなりますね。 |
2012年3月11日 (日)
ブルーベリーパイ
2012年3月14日 (水)
Trinken Bier!
本日も雑談にて 最近ほとんど語学学習と関係のない話題が増えちゃってますが、ご容赦ください。 今日は、池袋にあるビアバーにて、岩手県一関市のブルワリーのビールを集めたイベントに行ってきました。 このお店で普段から飲めるものも含めて8種類のビールから、今日は4種類を飲んで先ほど帰宅したところです。 ビール好きにとっては、日本はけっこう良い国になってきたと思います。 どの店に行っても、相変わらずドライなビールばかりでつまらない、とがっかりすることも少なくありませんが、おいしい地ビールが楽しめるお店もまたどんどんと増えています。 こうしたお店の中には、ビールの香りを大切にするために禁煙というところも多く、タバコの煙に弱い私としては大歓迎。 ドイツもアメリカもイギリスも さまざまなタイプのビールを楽しめる国といえば、ベルギーあたりが一番最初に名前が挙がるでしょうか。 ほかにも、イギリスやアイルランド、それにアメリカなどにもおいしいビールが、実にたくさんあります。ドイツやチェコはいうまでもありません。 私が外国語を話せるようになりたい、と思うのは、世界中でおいしいビールを飲んでみたい、というのが大きな動機です。 でも、わざわざ外国まで行かなくても、日本にもおいしいビールがたくさんあります。 日本のすごいところって、外国の文化や技術をあっという間に自分のものにして、より質の高いものを作り出してしまうところですよね。これって、なによりもその対象が好きでたまらない、という気持ちが原動力になっています。 外国語だって、きっと好きでやっていれば自分のものにできますよね。 |
2012年3月18日 (日)
英語にあきたら...
さよならジュンク堂新宿店 毎年11月から5月にかけて、「METライブビューイング」のために新宿三丁目にある映画館に通うのですが、この帰り道にほぼ必ず足を運ぶのが、ジュンク堂書店の新宿店です。 このお店が、なんと2012年3月いっぱいで閉店してしまうとのこと。フロアが広くて通路も比較的通りやすく、あまり本棚が高くないので実に居心地の良い書店だっただけに残念です。ビルは某家電量販店に変わるのだとか。そんなのまわり中にたくさんあるじゃん、と思っちゃうのですが。 この界隈の大型書店といえば紀伊國屋書店があるのですが、このお店はちょっとフロアが細切れ過ぎて、上下運動が面倒になってあまり使っていませんでした。 同じく紀伊國屋書店が少し離れた新宿高島屋にもありますが、あそこはほとんど代々木ですしねえ。帰りに寄れる書店が減ってしまうのは実に残念です。家電店としては、書店が3フロアあっても相乗効果が見込めないと判断したのでしょうか、あるいは、もともと書店としての経営が成り立ちにくいのでしょうか。 いずにれせよ、もうすぐなくなってしまうので、週末に立ち寄って何冊か買ってきました。 そのうちのひとつが、「ダーリンは外国人」でおなじみのトニー・ラズロ氏による「英語にあきたら多言語を!」です。 「習得した」じゃなく「あきた」 英語にあきちゃったなんていうと、真面目な学習者からは「ほう、それほど上達したってことですか」と問い詰められそうではありますが、言語の学習が「趣味」である以上は、あきることはあります。 私も8年間英会話教室に通い、本や雑誌を読み、ときには映画やドラマを字幕抜きで観たりして、いささか英語にはあきてきました。 ドイツ語に取り組んだり、フィンランド語の短期講座に通ったりしたのも、それらの言葉をなんとか習得したい、というより、「他の言葉で遊んでみたい」という気持ちが強くなったからです。 このラズロ氏の本の章立ては、「僕はオタクではない」「物好きでもない」「ポリグロットなのだ」となっています。ポリグロットは、いわゆるマルチリンガルのことですが、私の場合はまだまだ「物好き」のレベルでしょうか。 遊び道具であれば、誰もが持っているヒット商品ではなく、ちょっと珍しいもので遊んでみたい。そこで、中国語や韓国語などの「みんなが大好きなおもちゃ」には関心が持てずに、フィンランド語とかチェコ語といった、学習者が少なそうな言葉にばかり惹かれます。 このあいだなんか、アイスランド語についての解説をいくつか見ながら、「たった30万人が使う言語? いいじゃんそれ!」とか思っちゃいましたよ。 遊びなら楽しく フィンランド語についていえば、一通りの挨拶やトラベル会話の基礎をさらった状態でヘルシンキにでかけましたが、かの国の人たちはほぼ全員が英語話者であったために、ほとんど使う機会に恵まれませんでした。 たまに使ってみると、容赦のないスピードで答えが返ってきてしまい、まったく聞き取れなかったりと大変な目に遭います。なので、この遊び道具の実用性はかなり低いといわざるを得ません。遊ぶだけにしたって、もうちょっとがんばらないとね。 チェコ語についても、基礎フレーズだけでこなせる使用場面など、プラハに旅行に行ってビールの注文をするくらいしか思いつきません。 これだと学ぶもなにも、「Pivo, prosím.(ピーヴォ、プロズィーム!)」で済んじゃいます。仕事や普段の交際の中で特定の言葉を使わないのであれば、実用性だけを考えると、英語や中国語以外の外国語を学ぶ理由なんて、私にはそうそうありません。 その言葉を読んだり話したりすることが、楽しいと思えなければ学習は単なる苦行です。 苦行を楽しめる人は別として、遊びなんだから、あるいは趣味なんだから、学習過程も含めて楽しめるものであったほうが長続きします。 私の場合は、その楽しさの源泉のひとつが、「他の人たちがあまり興味を持っていないこと」であるようです。そんなわけで、そのうちにアイスランド語とかハンガリー語とか、どんどんとマイナーな世界に入っていくかも、しれません。 |
2012年3月22日 (木)
北欧ブーム? 外交の成果?
フィンランドのくらしとデザイン」展 4月から来年3月にかけて、全国5つの都市で「フィンランドのくらしとデザイン」展が開催されます。今週はそのプレイベントとして、渋谷でも関連の展示とイベントが開催中。 全国5都市といっても、本展時は東京では予定されておらず、開催順に青森、宇都宮、静岡、長崎そして神戸です。宇都宮か静岡なら、行けるかなあ、などと画策中。 ひとまず、渋谷には行ってみるつもりです。 デザインやら雑貨やらに関心が集まっているためか、このところ書店の旅行関連書籍のコーナーでも急速に「北欧」の文字が目立つようになりました。 北欧とはいっても、主にノルウェーとスウェーデン、そしてデンマークが中心で、フィンランドも含む、という感じでしょうか。アイスランドはあまり取りあげられませんね。あと、大ブリテン島やアイルランドって北欧なの?違うの? と疑問に思ったりもします(まあ、書籍だと「イギリス」でまとめちゃうんでしょうが)。 いずれにせよ、もともと教育制度や社会福祉でのモデルとなっていたり、最近ではサスティナブルな生活スタイルなども注目されたりしていて、北欧人気は一時のブームというよりも定着しつつあるのかも。 そして中でも、上述の展示会や、あるいはさまざまなイベントも増えていて、フィンランドへの注目がとくに高まっているように思えます。 フィンランド大使館に注目 Twitterやfacebookをお使いであれば、最近フィンランド大使館のアカウントでの活発な発信を目にしているかたも多いでしょう。 上述の展示会についても、私はこの公式アカウントのつぶやきで知りました。ほかにも、フィンランドの文化やフィンランド語の表現が紹介されたり、ほぼ毎日なんらかの声が聴けるので、親しみも深まります。ドイツ大使館の居候ネコのつぶやきと並んで、毎日の楽しみのひとつです(でも、仕事中の時間帯のつぶやきを見逃したり、するんだよなあ)。 大使館の公式アカウントというと、お堅いイメージがあるかもしれませんが、このフィンランド大使館のアカウントはちょっと違います。 アニメーションやコミックに登場するキャラクターについて語ったかと思えば、フィンランド語の表現ではとつぜんくだけたフレーズが飛び出したりと、直接語りかけてくれている印象を持ちます。政府を相手にした「外交」ではなく、日本でのフィンランドのプレゼンスを高める活動としての「外交」として注目を集めているようでもあります。 私が普段見ているのは、このフィンランド大使館と、ドイツ大使館のネコだけなのですが、きっと他にもさまざまな国々からの発信があることでしょう。 一方で、日本の「外交」はどうなっているんだろうか、というのも気になりますが、まだ探してみる気にはなっていません。アニメーションやマンガの人気から、日本語を学ぶ人々もそれなりに増えているでしょうから、ここはぜひ、各国での日本の顔としての活躍にも期待したいものです(でも、最近はちょっと目立つと日本国内で「無駄遣い」なんてわめき散らす人たちが出てきますね。ひとを保守的にするあら探しは、やめましょうよ)。 |
2012年3月25日 (日)
新テキスト!