2011年4月 2日 (土)
Arbeit in Deutschland
飲んでばっかり 前回は火曜日にビールを飲みに行き、翌朝の早起きが気になって更新をサボり、さらには水曜日にその顛末を(にせ?)ドイツ語で書くだけという手抜きで済ませました。 まあ、ドイツ語を数十行書くのは、いまの私にはそれなりの苦行なのですが、問題は読んでくださるかたにとっては語学学習の参考にならないことでしょうか。 で、実のところ今日も昼間っから火曜日と同じ店でビールを飲んでました。 ちょうど六本木ヒルズでペーパーアート作家、太田隆司氏の作品が展示されていて、妻と観に行くついでにランチと一緒においしいビールにありついたというわけです。どちらかというと、ビールを飲むついでにピザや魚料理も頼んだ、という感じなのですが。 ビールといえばドイツ さて、多くの日本人にとって、ドイツといえばやっぱりビール。 他にもベートーヴェンやバッハとか、ベンツやBMWとか、あるいはバウムクーヘンとか、はたまたベッケンバウアーなんかもありますが(「B」から始まるものばかり並べてみましたが)、ドイツを象徴するものをひとつといえば、ビールでしょう。 今週月曜日から始まったテレビの外国語講座、ヨーロッパの4言語(イタリア、ドイツ、フランス、スペイン)は昨年に引き続いて「EURO24」です。 火曜日のドイツ語では講師としてダニエル・ケルンさんが登場してます。まりんげさんの先生とのことですが、私もダニエル先生に習ったことがあるのです。ただしドイツ語じゃなくドイツビールを。 とある大学での社会人向け講座として開催された、ドイツビール講座の講師がビール樽をおなかに装着したかのようなダニエル先生だったのです。一緒に講座にでていた妻は、毎回のように「あのおなかをなでてみたい〜」とわめいていました。気持ちはわかります。 そんなわけで、今年の「テレビでドイツ語」は、講師が登場すると反射的にビールが飲みたくなってしまうという、危険な講座でもあります。 働き方いろいろ 初回の「くらしカル in Deutschland」のテーマは「Arbeit/仕事」でした。 ドイツがワークシェアリングやフレックスタイム制で労働時間短縮の先進国であることは、私が大学生だったころから有名でしたが、平均労働時間に40日もの差があるとは、まだまださは縮まってませんね。 私たちが日常生活で享受しているさまざまな利便性、たとえばコンビニエンスストアや深夜営業スーパーなども、誰かの長時間労働で支えられている側面があります。安定した職場を獲得することさえ、決して簡単ではない現実もあります。 なので、一概に労働時間が短くなればよい、とはいえないかもしれません。 とはいえ、効率を上げられるところはきちんと集中して、そのぶん余暇が増えるのなら、多くのかたが歓迎するのではないでしょうか。外国語の勉強をする時間だって多くなります。 「上司が帰らないので仕方なく残業」なんてことはドイツでは「絶対ない」そうですが、上司との関係に限らず、残業していないと「あいつはラクしてるんじゃないか?」なんていう同調圧力がまだまだ強いのが日本の職場です。何か理由がないと(仕事は終わっているのに)なかなかかえれない、というかたも多いでしょう。 そんなときは、やっぱり外国語教室に通ってしまう(あるいはカフェでのレッスンとか、オンラインレッスンとか、なんでも)というのがオススメ。 いまどき、早く帰る理由が「外国語の勉強してます」だったらなかなか上司だってダメとはいいにくいでしょう。週に何回か早く帰るのが普通になったら、気がつかないうちにどんどんと増やしちゃえばいいわけで。 本来は仕事が終わったのなら帰宅するのに「理由」なんて必要ないはずなんですけどね。ま、「今日は30分も残って、いったいなにがあったんですか?」などと訊かれてしまう私がいっても、あまり説得力ないか。 |
2011年4月 5日 (火)
憧れのミラノ
来週ミラノなんですよ 今日、ひさびさに親しい同僚と話をしました。 彼女は私が英会話を本格的に勉強し直そうと思ったきっかけを作ってくれた人物でもあります。 英語スタートのきっかけは酔った勢い!?(2008/12/24) とりとめのない話を2,3分したあとで、彼女がいうには「そうそう、私来週はミラノ出張です」 この時期、ミラノでは国際的な家具の見本市が開かれるのですが、なんと仕事で行くのだとか。海外事業の部署に異動したと思ったら、すぐにミラノだなんてうらやましい。 私もこの見本市にはぜひ行きたいと思っているのですが、なかなか実現しません。 そんなわけで、「じゃ、"Sei bellissima!"といわれたら、にっこりして"Grazie!"て応えるんだよ」と教えときました。あと、「ビールがほしいときは"Una birra per favore!"」 挨拶以外で私がすぐにいえるイタリア語は、残念ながらこれだけです。 メールでも そんな話をしてから事務所を出ると、以前の同僚でいまは他の会社で働いている友人からメールが届きました。 用件は、定年退職の年齢を迎えた共通の知人が勤務継続をするかどうかの確認だったのですが、メールの後半に「来週ミラノに行くんですけど、誰か同じ時期に行く人がいるかわかりませんか?」とのこと。 なんてことでしょうか。 私がいつまでたってもいけない見本市に、わりと親しくしている同僚と元同僚がいけるだけでなく、ほんの数分のあいだに同じような話を聞かされるなんて。 まあ、お互いにお仕事なんだから仕方ないのですけどね。いったらいったで、帰国後に報告書を書いたりでけっこう面倒なものですし。 メールのほうの友人にも、「ビールを頼むときにはね」と書き送ったところ、「それホントですか?」なる返事が。 うーん信用ないなあ。でも、彼女と一緒にの事務所にいたころは、外国語を真面目に勉強しようなんて思ってもいませんでした。バブルの真っ盛りでしたから、「外国人が日本語勉強しなさいよ」なんて思ってました。 でも「Birra」といえない ドイツ語の勉強をしている割には、私は巻き舌が不得意です。 まったくできないというわけではなく、なんとか巻いた音は出せるのですが、この音が続くとけっこう大変。なので、たとえば「reparieren(修理する)」なんていう単語を発音するのは一苦労です。 で、イタリア語の最重要表現の一つである「Una birra per favore!」にも問題があって、不得意な巻き舌の「r」音が二重になっているのです。「ビッラ」と舌を巻きながら発音すればいいのでしょうが、どうしても「ビル ラ」になってしまいます。 これでもちゃんと巻けてればいいのかもしれませんが、それでないと「biro/ボールペン」に聞こえてしまう、なんて話もどこかで読んだことがあります。 ドイツ語だと「Ein Bier bitte!」なので、カタカナ発音で「アインビアビッテ!」で十分OKなのに比べると、ビールを飲むためのハードルはイタリアのほうが高いといわざるを得ません。 まあ、イタリアなのだから無理にビールを飲まずに「Un bicchiere di vino rosso per favore!」でOKかも。これなら発音の難易度はぐっと下がります。 なんて、結局海外に行っても飲むことばかり考えてるのがバレバレですね。こんなんだから、ミラノの見本市にはいかせてもらえないのでしょう。 |
2011年4月 9日 (土)
日本を再発酵しよう
しつこくビールの話 国民を軍隊と勘違いしている都知事が「花見している場合じゃない」なんて無粋なことを言っていたようですが、東京では桜が満開になりました。 バカ騒ぎを推奨するわけではありませんが、「自粛」の名の下に経済活動をどんどんと抑え込んでしまっては、日本全体が不況に沈んで復興のための資金を出すことさえできなくなります。 今日は岩手県の地ビールを楽しんできました。 東北地方には地酒だけでなく、おいしいビールもたくさんあります。銀河高原ビールがとくに有名ですが、決してそれだけじゃありません。 今日いただいたのは「いわて蔵ビール」、一関市で造られているビールです。 燻製の香りと甘みのしっかりとした「レッドエール」をじっくりと堪能しました。 発酵は英語で さて、私の近所のスーパーでは未だにビールの棚が空っぽなのですが、同じように買いにくくなっているのが納豆とヨーグルトです。 納豆とヨーグルトに関しては、発酵させるための温度管理が停電によって難しくなっていて、思ったように生産ができないという報道がありました。たしかに、たとえば一般的なヨーグルトの発酵は45℃前後で進むものですね。 発酵は英語で「Fermentation」といいます。 イタリア語でもドイツ語でもほぼ同じ単語なのは、発酵という現象が科学的に解明されたのが19世紀以降だからでしょうか。お酒に限らず、発酵を活かした食品は、数千年もの歴史を持っていますけど。 今日ビールを飲んだお店の壁には、「復活日本 再発酵・Re-Fermenting Japan」というポスターが貼られていました。 いいですね。再発酵。 ただ元に戻るのではなく、「再発酵」です。発酵食品はもとの食品がよりおいしく、あるいは栄養豊かになるのが特長。日本もこの困難を乗り切って、以前よりもさらに魅力的で幸せの多い社会になっていきたいものです。 日本を再発酵しよう ビールを自宅で発酵させると、いささか法律的に調子の悪いことになりますので、ただいま我が家では牛乳を発酵させています。そう、自家製ヨーグルト。 牛乳を45℃程度に温めてヨーグルトを大きなスプーンに2.3杯溶き、そのまま6〜8時間保温するとうまい具合に発酵してヨーグルトのできあがりです。保温のためには保温調理器(ようは、鍋が魔法瓶に入っているようなもの)を使うと最初に暖めるためのエネルギーしか使いません。 「自家製」なる英語はよく見かけますね、「Homemade」。 なので、自家製のヨーグルトは「Homemade yogurt」となります。ドイツ語でもほぼ同じく「Hausgemachte Joghurt」。英語の「made」が過去分詞で「〜された状態の」という意味になるのと同様に、ドイツ語でも「gemachte」と過去分詞が形容詞として使われています。 ちなみに「Joghurt」は「Jogurt」の場合もあり、男性名詞・中性名詞・女性名詞のいずれのケースもあるという、学習者へのいじめとしか思えない単語。まあ、そういうときには中性名詞ってことにしちゃいますけどね、私の場合。 今日作ったヨーグルトもちゃんと発酵してくれたようです。 飲んできたばかりではありますが、夜食として買ってきたピザをおつまみに、メーカーの工場でうまい具合に発酵したビールをもう一本、いただくことにしましょうか。では。 |
2011年4月13日 (水)
An das Vaterland
CD到着 大震災の前に注文していたCDが、昨夜ようやく到着しました。 販売元も何か影響を受けたのでしょう。注文時には一週間ほどで入荷の予定だったものが、突然「入手困難」になって同時に注文したCDと別に発送するかどうかの確認メールが来ました。 分割配送にしたところ、片方は二ヶ月後の配送予定になっていて、それはそれで仕方ないと思っていたら、また突然に「商品を発送しました」の連絡が。 結局、分割してもらったのに二日違いで手元に届いたという次第です。 「一週間」「入手困難」「二ヶ月」と納期が二転三転して手元に届いたのは、スイスの作曲家ヨアヒム・ラフの交響曲全集です。 1822年に生まれたこの作曲家は、時代でいえばシューマンやメンデルスゾーンとブラームスのあいだの時代に活躍しています。交響曲を全部で11曲書いていますが、コンサートなどでは滅多に聴けない、いわば忘れられた存在。 An+4格 さて、ドイツ語の前置詞の中には、3格および4格の両方と結びつくものがいくつかあります。4格の場合には主に動作の方向を表し、3格の場合にはその場所を表すことが多い、と解説されますね。 たとえば、 Ich gehe ins Kino. といえば、「私は映画館へ行く」になります。一方で、 Ich bin im Kino. となると、「私は映画館にいる」となります。 まあ、このあたりはドイツ語初級講座で必ず習うことですね。3格は、4格は、と覚えようとするよりも、「ins Kino gehen」とか「im Büro arbeiten」のように動詞との組み合わせて覚えちゃうほうがラクです。 さて、冒頭に触れたラフの11曲の交響曲のうち、第1番には「An das Vaterland」という副題がつけられています。 検索してみると、これを「祖国にて」と訳しているサイトも見つかるのですが、学習者のみなさんはおわかりですね。冠詞に「das」とあるのですから、これは4格です。 「祖国にて」であれば、「Am(An dem) Vaterland」となっていなくてはなりません。 「An+4格」で良く目にする例文は次のようなものです。 Ich hänge das Bild an die Wand. 「私はその絵を壁に掛ける」というのですね。anは接している状態を示しますから、壁に掛けたり寄りかかったり、という動作に使われます。 では、「祖国に接して」になるのでしょうか? denken+an+4格 前置詞anとともに使われる動詞といえば、「denken」です。 「denken+an+4格」で、「〜のことを思う/想起する」といった意味になります。 Ich denke an meine Kindheit. 「私は子供時代を思う」となり、子供時代を懐かしく思い起こしているわけですね。 そんなわけで、「An das Vaterland」は、おそらくは「(Ich denke)an das Vaterland」などなのでしょう。「祖国を思う」とか「祖国に寄せて」といった意味になりそうです。 この曲を作った1861年には作曲者は祖国スイスではなくドイツに居を構えていたようです。1848年に小規模な内乱を乗り越えて連邦制の中立国としての形を整えた祖国スイスを思いながら書いた作品なのかもしれません。 こうしてみると、3格とか4格とかあってややこしいな、と思うのではなく、「格変化のおかげで意味が取りやすい」とポジティブに受け入れることができそうです。 この4月から新たにドイツ語に取り組んでいるかたにとっては、「なんでこんなややこしい変化があるわけ?」と腹立たしいかもしれませんが、これけっこう役に立つんです。 |
2011年4月17日 (日)
「できてない」ことを思い知る
焼き肉+ビール=更新できず 昨日は焼き肉とビールでおなかがはち切れそうになって帰宅したため、更新の余力が残っていませんでした。 といいつつ、この数ヶ月はけっこう更新のペースが乱れているのですけどね。 焼き肉を辞書で調べると、ドイツ語では「der Braten」となっています。 なので、「Gestern habe ich voll den Braten gegessen.」ですかね。もちろん、「Ich habe auch viel Bier getrunken.」です。 で、「Ich bin ins Bett gegangen, ohne die Zähne zu putzen.」でした。 最近書店で目立つのが「○○語で手帳をつけてみる」という本。 フランス語、イタリア語、英語、中国語、韓国語とそろっているのに、なぜかないドイツ語。スペイン語もありません。 学習者人口ではどうやらベスト5には入っていないのですな。ドイツ語は。なぜかゴガクルブログにはたくさんいるのに。 まあ、本がなくても、日記や手帳を外国語で書いてみるのは、それほど難しくないし継続もそれほど困難ではない学習法の一つですね。 もっとも、新しい単語や、気に入った表現などをあえて使おうとしないといつもでも同じようなことばかり書くことになるのと、間違いを修正するための仕掛けは必要ですが。 ドイツ語セミナーで玉砕 さて、先週はドイツ語でのセミナーに参加してきました。テーマはいまも進行中の原子力発電所の事故に関して、日本とドイツの対照的な反応についてです。 最近でこそ落ち着いてきた(同時に深刻な状況を前に固唾をのんでいる、という雰囲気もありますが)ものの、事故の発生当初は「それってさすがに大げさすぎるんじゃ」と思うような報道が、とくにドイツ語のニュースでは多かったように感じられます。 一方で日本では、比較的落ち着いて対応を見守っていたといえそう。 これはなにも、国や電力会社が「落ち着いて」といったからではなく、大多数の人々はパニックになったからといって何かが解決するわけではないことを理解して行動したからだと思います。 ここぞとばかりに国や大企業の寿崩壊時に関する姿勢を責め立てる人たちも目立ちますが、情報など世界中から手に入るこの時代に、安易な情報の隠蔽工作に走ったというよりは、本当に混乱したのだと理解するのがいいんじゃないかと。 さて、そのセミナーはもちろんオールドイツ語。 参加者は30人以上だったでしょうか、うち数名はドイツ語で意見を述べるのも比較的自由にできる力の持ち主のようで、意見交換は講師プラス5〜6名を中心に進みました。 で、私は講師の話す内容について行くのがやっとで、発言できたのは一度だけ。最大の問題はやはり語彙力の不足です。 負荷がないと 冒頭で書いたように、「ビールを飲んだ」「焼き肉を食べた」と書き連ねる程度であれば、基本の文法を学び終えればあとは辞書を片手に何とでもなります。 しかし、たとえば原発の事故のようなテーマについて意見を述べようとすると、専門用語だけでなくかなり幅広い語彙力が必要です。 英語でも、やはり最低3000から5000くらいの語彙がないと、なかなか効率よく意見を伝えるのは難しいように感じます。 語彙力だけでなく、「途中でつまっても良いから、何か話す」という姿勢がまだまだ私には不足しているようです。 英会話教室でも、失敗しても良いから話してみる、という姿勢に切り替わるまでにはちょっとかかりました。いまの私のドイツ語は、教室に通い始めたころの英語よりもまだ初歩の段階ですから、気後れの度合いもまだ大きいままです。 とはいえ、暗記とか簡単な作文だけで言葉がしゃべれるようになるはずもなく、やはりどこかで無理をしながら(恥もかきながら)話してみないことには、身につかないのは明らかです。 少しわかってきたと思ったら、安心せずにさらに負荷がかかって居心地の悪い状態をつくらないと、永遠の初級で終わるんですよね。なんか、初級講座は聞けばわかるけど、でもその表現が使えるかというとそうでもない、というくらいの。 次にセミナーに参加したら、3回は発言しよう。 そのために、適度にわかる程度の居心地の良いレベルでのんびりしていないで、もうちょっと負荷のかかる学習に進まなければ、と思ったのでした。 |
2011年4月19日 (火)
Per favoreふたたび
外食産業を勝手に救済 今年に入ってFacebookを始めているのですが、誰もがアクセスできるコミュニティページのひとつに「外食産業を勝手に救済しよう!」というのがあります。 自粛といえば聞こえは良いが、ある意味では「自分だけは不謹慎だという批判はされまい」という消極的な姿勢が、消費を冷え込ませてはいつまでたっても被災地にお金は回っていきません。経済を活発にするには、貨幣の流通量を増やすだけでなく、流通速度を速めなければならないのです。 そんなわけで、3月の下旬からは積極的に外食しています。 贅沢な食事をするというよりは、気軽に楽しめる外食を減らさないことで、過度な自粛から景気後退への悪循環を引き起こさないようにする、小さな活動です。 本日は、妻が勤務するビルの近くにあるイタリア料理のお店に行ってきました。アスパラガスや春野菜をふんだんに使ったメニューには大満足です。アンディーヴなんてこれまではリンゴやクルミと合わせたサラダばかりでしたが、ゴルゴンゾーラチーズのソースと合わせるとこんなにおいしいなんて。 お隣はどこかの会社の宴会 入店時には他に客がいなかったのですが、「隣が予約の宴会客ですがよろしいですか?」といわれました。選べるなら静かな席が良いですが、禁煙席はそのブロックだけですし、大騒ぎする団体ばかりとは限りません。承諾します。 私たちが食べ始めて20分ほどたってからやってきたのは、どこか近くの会社なのでしょうか、11人の団体です。白髪の「部長」と呼ばれる男性の他は、20〜30代の若い男女。 最初誰かが「ビール11こ」と頼んだのですが、一番端の男性が「コーラ・ペルファボーレ」と大声で叫びました。しかも聞こえていないと思ったのか、3回連続で。 「オレもう二度と酒は飲まないっす」といっているところを見ると、つい最近お酒のせいで手ひどい失敗をしたばかりなのでしょう。とはいえ、「コーラ・ペルファボーレ」を大声で3度繰り返すところなど、素面でも酔っぱらいとあまり変わらなそうです。普段からこうなのだとしたら、部長さん大変だろうなあ。 どうやらこの男性はとにかく「Per favore」を覚えたてのようで、その後も「トニックウォーター・ペルファボーレ」などと絶好調。 それは良いのですが(うるさいけどあまりいやな感じでもなかったし)、せっかく近くに座っているかわいらしい女性社員をほとんど無視して、男4人で盛り上がっていたのはいかんですな。彼女は左右どちらの会話にもなかなか入れずにいました。 大声で言ってみる このお店にはイタリア人の店員さんはおらず、全員が日本人。なので、「ペルファボーレ」はあまり受けていないようでしたが、覚えた表現をおもしろがって使ってみることって、大事だと思います。 何度も使っていなければ、ここぞというときに口からは出てきません。たとえ何十回も教科書で読んでいようと、実際に使ってみなければ身にはつかないのが外国語です。 きっとこの男性、イタリアに旅行に行っても大声で「ペルファボーレ」を連発して、なんとか現地でコミュニケーションを取ることでしょう。 大声で、というところも大事で、小声ではたとえちゃんとした外国語を使っていたとしても、なかなか聞き取ってはもらえません。 私も典型的な日本人なので、間違えるといやだな、という気持ちが先になってなかなか外国語を大声では話せません。 けれど、多少発音がおかしくても、おなかに力を入れてわっとしゃべったときのほうが、通じやすいのは間違いないですね。そう多くない旅行や教室での体験からも、これはかなり確実です。 そんなわけで、イタリア料理を食べに行ったときには、大きな声で「Una birra, per favore!」と叫んでみましょう。旅行会話くらいならば、その積み重ねでかなり前進できるんじゃないかと思います。 |
2011年4月23日 (土)
好きな音楽で響きを楽しむ
またしても来日キャンセル 震災以来、いや、原子力発電所の深刻な事故以来というべきでしょうか、来日を予定していた演奏家のキャンセルが相次いでいます。 ヨーロッパの多くの国々が渡航制限を行ったので、仕方のない側面はあります。たとえ深刻なレベルでないにせよ、放射能による汚染の可能性はあるわけですから。 そんなわけで、今日予定されていた日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会も、指揮者と曲が変更になって行われました。指揮者のインキネン氏は来日を切望していたとのことですが、フィンランド政府による渡航制限が最近まで解除されず、やむをえずキャンセルとのこと。 指揮者は若手の日本人指揮者として注目を集める山田和樹さん、マーラーの交響曲第4番を中心としたプログラムです。 ちゃんとドイツ語 マーラーの交響曲第4番の第4楽章は、ソプラノ独唱を伴う、いわば歌曲です。今日の演奏で歌ったのは、日本人ソプラノの市原愛さんでした。 オペラ歌手としてはすごくスレンダーなのに、しっかりとした歌声で天井の生活を歌い上げてくれ、曲全体を通して非常にバランスのとれた、すばらしい演奏を楽しむことができました。 歌詞はドイツ語なのですが、昨年とある有名歌手で同じ曲を聴いたときには、とてもドイツ語には聞こえないし、そもそも歌自体が調子が外れているように感じられました。 そのときはオーケストラの演奏もバラバラで、半分以上がエキストラなのではないかと思えるようなバランスの悪い、正直なところ駄演としかいいようのないものでした。まあ、そんな演奏でも掲示板などを見るとほめている人もいたようなので、好みはそれぞれなんでしょうけど。 今日の歌ですが、押し出しの強さはなかったものの、非常にピュアな歌声で曲にはとても良くあっていたと思います。 上述の演奏と比べると、音程やバランスが素人にもわかるほど崩れるということもありませんでしたし、著名演奏家のCDにも巻けない公演であったと思います。なによりも、ドイツ語の歌詞がしっかりとそう聞こえたのには感心しました。プロフィールを見るとミュンヘンの音大に留学していたかたのようです。 聴き取れるわけではないけれど もっとも、ドイツ語の歌詞を聴いてすべて理解できるわけではありません。 とはいえ、好きな作曲家の曲ですから、何度も歌詞は見ているので内容はわかっています。内容が大まかにわかっていると、外国語の歌詞でも比較的聴き取りやすいですね。フレーズ毎にいくつかの単語がはっきりと聞こえました。 ドイツ語の歌といえばシューベルトによる歌曲が有名ですが、他にもマーラーの声楽曲やリヒャルト・シュトラウスの歌劇、そしてヴァーグナーの歌劇・楽劇などがあります。 歌劇の歌詞は、韻文として語順を変えたり語尾を省略したりと、そのままでは会話には使えるわけではありません。しかし、単語をいくつか聞き取りながら少しずつでも言葉の響きに慣れるにはとても有益です。 英語を学ぶ方法の一つとして、ポピュラー音楽の歌詞から入ったかたは多いと思います。ビートルズやカーペンターズなんかはとても聞きやすいですし。 同じように、イタリア語やドイツ語、フランス語ならばオペラや歌曲から入るのは、そう悪くはないでしょう。なにごとも、好きなことならば勉強もつらくないし、継続できますからね。 |
2011年4月26日 (火)
祝!第3巻発売
ローマの公衆浴場 ヤマザキマリさんの大ヒットコミック「テルマエ・ロマエ」の第3巻が発売になりました。 あまり情報収集に熱心ではないので、発売になったその日に知ったために立ち寄った書店では売り切れ。近くの大型書店に大量に積んである中から一冊を買ってきました。私はまだ最初の5ページしか読んでいないのに、この原稿を書いている隙を狙っていた妻に奪い取られてしまいました。ケラケラ笑いながら読んでます。悔しい。 「テルマエ・ロマエ」、本来のラテン語の綴りだと「Thermae Romae」になるのでしょう。 「Thermae」はたぶんこれ、「Therma/公衆浴場」の複数形の主格ですよね。で、「Romae」は「Roma」の属格で、意味としては「ローマの公衆浴場」という意味でしょう。両方とも「-ae」で終わるので、語呂も良いですね。 これが英語だと、「Baths in Rome」で、わかりやすいけど詩的な響きには欠けます。「Thermae in Rome」でも良いですが、発音するとやはりイマイチです。 他の言葉では? ラテン語といえば、直系の子孫であるイタリア語ではどうなるでしょうか。 Google翻訳に尋ねてみると、「Terme di Roma」となりました。16世紀のカール5世による「ローマ略奪」は「Sacco di Roma」なので、きっとあっているでしょう。 英語に比べると、いくらか語調は良く感じられます。 ドイツ語は英語とそっくりです。 「Thermen in Rom」「Thermalbad in Rom」になるようで、なにがいけないといって「Rom」ですね。巻き舌で始まったかと思うと唇を閉じてハイおしまい、という音からは、世界の都「Caput mundi」が想像できません。やはり「ロウム」でも「ロム」でもなく、「ローマ」でないと。 もとのラテン語から距離の大きそうな言葉でも調べてみました。 たとえば、バスク語では「Erroman Termak」です。前半が「ローマの」だと思うのですが、なぜに頭に「E」がくっついているのでしょうか。 でも、バスク語でさえ、「Therma」に近い単語になっているところはすごいですね。ローマが残した文化遺産の中でも、お風呂文化は広く浸透しているようです。 そしてフィンランド語では、「Thermae Roomassa」となります。 「Asun Roomassa./私はローマに住んでいます」と同じく内格が使われていますから、英語の「in Rome」と同じでしょうが、前置詞がないので読んだときの流れはきれいですよね。 お、ダラダラと書いているうちに、妻が読み終えたようです。 遅くならないうちに読み始めなくちゃ。ドイツ語の宿題もまだ終わっていないのですが...(すいません、最近ちっとも語学学習ネタじゃなくて) |