2013年6月 2日 (日)
こりゃ便利、翻訳百科アプリ
辞書してのWikipedia 前に一度書きました。オンラインの百科事典サイト「Wikipedia」は、特定の言葉や出来事を他の言語でどういうのかを調べるときに、とても便利です。 つい先日のドイツ語教室でも、ドイツで使われるパンの材料のひとつ「Dinkel」が出てきたのですが、この単語は手許のアクセス独和辞典(iPad版)には載っていません。 また、同じくiPadに入れてある独独辞典(Langenscheidet Großwörterbuch Deutsch als Fremdsprache)には項はあるものの、「eine Getreideart」すなわち「穀物の一種」としか記載されていないのです。 そこで、Wikipediaのドイツ語版で、「Dinkel」を表示させてみます。ページの左下に、各国語での同じ項目へのリンクが並んでいるはずです。 残念ながら、日本語のWikipediaにはこの項目はないようです。けれど、ほとんどの場合、英語版へのリンクはありますから、こちらをチェック。すると、「Spelt」という項目に飛びます。 料理好きならきっと「スペルト小麦」にすぐ結びつくのでしょう。私の場合は、さらに英和辞書で調べて確認しました。 ついでに日本語で「スペルト小麦」を調べてみると、国内の製粉会社による詳しい説明あって、「現在の普通小麦の原種にあたる小麦で、栽培は古代エジプトで始まり...」との説明が。 うーん、「古代エジプト」なんて、素敵すぎます。これは食べてみなくちゃ、という気になりますよね(え、なりませんか?) ぴったりのアプリが さて、このようにWikipediaを辞書代わりにするのはけっこう便利です。辞書にまだ掲載されない時事用語なんかもけっこう簡単に調べられますからね。 ただ、実際にやろうとすると意外に面倒です。 1)調べたい言語でWikipediaのサイトを開く 2)目的の語を入力して検索 3)複数項があったら目的に合致したものを選択 4)ページ左下の各国語版へのリンクから日本語を探す、あれば飛ぶ 5)なければ自分がわかる言語へ飛び、必要に応じて辞書で再度調べる というステップを踏まねばなりません。 PCで作業できる場合はともかく、スマートフォンやタブレットの画面だと、いかにも面倒ですよね。 世の中便利なもので、こんな用途にぴったりのアプリ(ただし、iOSだけのようです)があります。その名は「Translatica」。 一発多言語検索 このアプリは、要するになんらかの語を検索すると、各言語のWikipediaに掲載されている同じ項目へのリンクを抽出して一覧にしてくれるもの。 もとの検索の言語も自由に選べますから、今回の場合ならばまず「Deutsch」を選んで「Dinkel」を検索。すると、「English」から「中文」まで9つの言語へのリンクが並びます。それぞれをクリックすると、「Copy」か「View Article」が選べるので、好きなほうを選べばOK。 インストールした状態では、最初の言語選択に20ばかりのリストがあって日本語が次のページになってしまいますが、これは編集可能。編集画面ではこんなにも多くの言語でWikipediaがあるのかと、驚かされます。 ここで学習中の言語、あるいは旅先の言語などを登録しておけば、あとは辞書と同じように検索するだけ。 もとがWikipediaの情報なので、辞書と同じというわけにはいかないでしょうが、上述の通り辞書には出ていない語が多く含まれるのがポイント。 この便利なアプリ、有料とはいえたったの85円。最近の円安傾向で、いつiTunesストアの日本向け価格が改定されるかわかりませんし、いずれにせよ缶ジュースにも満たない低価格です。 iPadやiPhoneをお使いでしたら、一度お試しを。 |
2013年6月 6日 (木)
オンラインでマイ・マガジンを作る
キュレーション オンラインのキュレーションサービス「Flipboard」については、何度か紹介しました。 今年になってから大きなバージョンアップがあり、その目玉は「マイ・マガジン」が作れるようになったことです。 これは、さまざまなオンラインの情報の中から気に入ったもの、気になったものを自分の「マガジン」に登録して公開できるというもの。いわば、「私のオススメコンテンツ集」が簡単に作れて共有できるサービス。 個人がWEBサイトを作り始めた頃、いかに「リンク集」を公開しているかが、そのサイトの魅力の一つとなっていた時期がありました。 また、WEBコンテンツのブックマークサービスでも、自分のブックマークを「アンテナ」として公開することができ、いわば「目利き」のアンテナを登録しておくことによって、情報探索を効率化する、という使い方ができました。 しかしこれらの場合、収集の対象となるのはサイト単位。例えば同じブログでも、記事のテーマによっては全く関心のない情報も通知されるので、必ずしも求めるタイプの情報かどうかはわかりませんでした。 キュレーションサービスは、基本的に個々の情報(ブログやニュースの個々の文章)単位で収集、分類されますから、概ね自分の求めるテーマや話題に沿った情報のみを集められるのが便利なところです。 私は、FlipboardやZiteなどのキュレーションサービスを使い始めてから、一からGoogle検索で情報を探すことがかなり減ってきましたし、ニュースサイトのトップページに最新記事を見に行くことも、ぐっと減りました。 キュレーションは「Curation」ですが、元になった「curate」は展示会などを企画する、という動詞であり、「curator」は博物館や美術館の学芸員を表します。 いわば、膨大なコレクションの中から、見学者の嗜好に合う展示品を選び、展示方法を考え、実行するというプロセスを、情報収集と整理に当てはめたサービスです。Ziteでは、開いて読んだ記事の傾向や、その際の評価結果に基づいて推奨される情報が変わるため、しばらく使っているうちに自分だけの嗜好に合った雑誌ができあがる、というわけです。 Flip it! 従来は、「どこかの目利き」が集めてきた情報を効率良く閲覧する道具だったFlipboardは、マイ・マガジンの導入によって、「自分なりに目利きをする」ための道具に進化しました。 各記事にはマイ・マガジンへの登録ボタンがつけられ、読んでいて気に入ったらその場で自分が作ったマガジンに簡単に登録できます。マガジンは複数作れるので、テーマ別に分類するのも簡単。あとで読むためのメモとして使っても良いし(自分だけが見られる設定も可能)、公開してももちろんOK。 2ヶ月ほど前に、私も「英語&外国語 学習リソース集」というマガジンを作り、語学学習関連で気になった情報を集め始めました。 今日現在、80ほどの記事をクリップして、閲覧者もようやく100人を超えました。すでに数千人以上の読者を持つ「マイ・マガジン」もあるようですから、100人を超えたくらいでは弱小もいいところですが、それでも自分が集めた記事集がこれだけの人たちに見てもらえて、もしかしたら数人のかたには情報源として使ってもらえているかもしれないというのは、嬉しいもんです。 もし、興味を持たれましたら、一度覗いてみてください。 |
2013年6月12日 (水)
Ich habe letzte Woche blaugemacht, Deutsch zu lernen.
火曜日は、ドイツ語 「テレビでイタリア語」の視聴者の方々は、毎週22時50分少し前に、このセリフを聞いてますよね。テレビ講座は、この数年間ずっとイタリア語の翌日、火曜にドイツ語が放送されています。 私の週に一度のドイツ語講座も、火曜の夜にあって、結果として毎週火曜日はドイツ語の日でもあります。本当は、火曜と木曜、といった具合にバラついていたほうがありがたいのですが、教室を終えて22時頃に自宅にたどり着き、着替えなどを済ませるとまたドイツ語の時間。 集中していると何がいけないといって、火曜日以外にドイツ語を勉強しなくなってしまうこと。 これではいかん、ということで朝の通勤電車内で録音したラジオ講座を聴いたりもするのですが、なかなか毎朝の習慣にはなりません(だって、通勤電車内は貴重な読書時間でもあるので)。 結局、毎週火曜日の朝になると、「あ、また一週間何もしなかった」と気がつくことが良くあります。こういう態度では、身につくものも身につきません。この一年間ほどは、ほとんどドイツ語に進歩がない状態。 blaumachenとschwänzen ああ、最近サボりすぎだよなぁ、と思っていたところに、twitterで流れてきたのが、「ドイツ語で『サボる』は、blaumachen / schwänzen」というつぶやき。 どうして、blauなんだろうかと不思議ではありますが、サボって成績が下がって顔が蒼ざめるから、でしょうかね? 手許のDudenの辞書でも、前者が「nicht zu Arbeit gehen, weil man keine Lust dazu hat」と意味があるだけで、なぜこの語が成立したのかは記載されていませんでした。 なお、後者についてはそっくりの説明ながら、「nicht zur Schule gehen, weil man keine Lust dazu hat」と、違いはサボるのが「仕事」「学校」の違い。ドイツ語教室にはキチンと通っているので、私の場合はschwänzenしているわけではなく、それ以外での学習(やるべきこと≒仕事)を怠っているので、blaumachenであることは確かです。 毎日少しずつ、が苦手 このブログの以前からの読者にはもう耳にタコの話ですが、とにかく毎日コツコツと学習するのが私の最大の苦手領域。宿題でも何でも、溜まってきたら一気に勢いで片付ける主義です。 このスタイルは、大人になってからではそうそう変わりませんから、もに読んでいるあなたがまだ若ければ、今のうちに強制することをオススメします。年を重ねて瞬発力が弱まってからでは、遅いので。 せっかくラジオ講座があって、しかも新番組の他にアンコール放送もあり、週に5つ放送されているのだから、平日はひとつずつ聞いて、週末に復習すれば良さそうなものですけどね。 それがなかなか身につかないから、言葉も身につかない。多分、これをきちんと一年続ければ、旅行でサバイバルくらいのレベル(ざっくりとA1レベルからA2に手がかかるくらい?)には達するはずなんですけど。 |
2013年6月16日 (日)
Die Bürosoftware
ニュースを読む 外国語の学習で、「読み書き」は「会話」に比べると重視されなくなっている印象を受けます。 たしかに、研究者や技術者、海外の情報を頻繁に扱う専門職などに就いていなければ、外国語で本や論文を読む必要のある場面は限られるでしょう。 けれど、旅行で使えればよい、としても、さまざまな施設の表示や各種のパンフレットなど、外国語を「読まねばならない」場面はゼロではありません。短く単純な文であれば、短時間で大意を把握できることはけっこう重要です。 幸いにして、「短く、シンプルで、必要以上に修辞的でない」文章が、私たちの周囲にはあふれかえっています。すなわち、ニュース記事がそれ。 長い論説もありますが、だいたいは十数行から数十行くらいの分量ですから、慣れた外国語ならば10分ほど、学習中でも30分ほどで読み終えられます。しかも、世界的なニュースであれば母語でもその内容を把握できますから、背景知識を含めて理解をするのがより容易です。 アップル社の発表 6月11日、PCやモバイル機器を扱うニュースサイトやブログは、アップル社の発表に関連するニュースで埋め尽くされました。 iPhoneやiPad向けの新OS、バッテリーでの稼働時間が大幅に伸びたノートPC、そしてなんだか別のものにしか見えないワークステーションなど、この発表だけでどれほどの広告宣伝効果があったのかと感心するばかりです。 いくつかのサイトで発表内容を日本語で把握したあとで、今回は「Der Spiegel」誌のサイトでドイツ語のニュース記事を読んでみました。 こういうときには、いちいち辞書は引かずにとりあえず意味を取ってみることにしています。特に身についた語彙が不十分な言葉の場合、読んでる時間よりも辞書を引く時間のほうが長くなってしまっては、苦行になってしまいます。 当然、未知の単語が次々に登場するのですが、基本的に書いてある内容はすでに理解しているので(同じ発表にもとづいた記事なので、ほとんど内容にはブレがありません)、何とか類推しつつ読み進められます。 おかげで、とりあえず最初から最後まで、10分程度で一度読み終えることができました。普通のニュースだったら、こうは行きません(ためしに、中央の洪水関連のニュースを読み始めましたが、20行くらいでイヤになっちゃいました)。 Die Bürosoftware さて、こうやって読んでみると、「あ、この言葉ではこんな風にいうのか」と、いまさらながらに気がつくことも少なくありません。 たとえば、今回のタイトルにした「Die Bürosoftware」という単語。「Büro」は事務所ですから、英語にすると「Office」、つまり、これはExcelなどに代表される「Office software」の意味です。 頭に「Die」がついているとおり、これは女性名詞。 「Büro + Software」による複合単語ですから、後ろのほうにある「Die Software」と性が一致して女性名詞となります。 ちなみにハードウェアのほうは「Die Hardware」。まんまですが、なぜ「Die Hartware」にならなかったんでしょうね? 辞書で引いてみると、「ハードディスク」も「Die Festplatte」の他に「Die Harddisk」と英語の綴りのまま入ってきているようです。 読み方は、同じ辞書によると「ゾフトヴェーア」だそうで、ここはきちんとドイツ語風です。 とはいえ、「Die Ware」は「ヴァーレ」になるので、本当なら「ゾフトヴァーレ」と読みたくなります。けれど、「Die Ware」は複数になると「Die Waren」なのに対して、「Die Software」は「Die Softwares」だそうなので、これはもう、外来語として新たにできた語だと考えるほうが、良さそうです。 ドイツ語の中にはフランス語からきた単語もけっこうあり、たとえば「Das Engagement」は「エンガゲメント」ではなく「アンガジェマーン」となります。 ちょっとややこしいですが、英語のように同じ「engage」を意味によって「アンガージュ」と読んだり「エンゲイジ」と読んだりする無節操さを考えると、たいした問題ではないですね。「resume」も、「レジュメ」「リジューム」の両方あるし。 |
2013年6月19日 (水)
苦手な、耳からの学習
テキストを見ないで~ ラジオ講座を聞いていると、よく「できれば、テキストを閉じて聞いてみましょう」というエクササイズが出てきます。 たしかにテキストを見ていると、これから読まれる外国語の単語やフレーズが書いてあるので、なんとなくわかっちゃった気になるのですが、これはほとんどの場合、聴き取れていません。 似たようなことが、外国語の映画やドラマを見ているときにもよく起きて、「あ、いま聴き取れた、すごい」と思っているのは、ほとんどの場合は日本語字幕を読んで内容を把握した上で音を聞いているがゆえの錯覚。 字幕なしで外国語の音だけを聞いていると、字幕付きの場合に比べてはるかに聴き取れる範囲が狭くなることに気がつくはずです。 実際の会話では、字幕やテキストはありませんから、旅行などで理解できるのは、後者で聴き取れる音のみということになります。 なので、文字情報に頼らずに耳からの情報だけで外国語を聞き取り、理解する訓練は非常に重要で、だからこそ「はい、ここでテキストを閉じてください」となるわけです。 書いた文字は読もうよ さてここで問題が生じます。言葉というのは書いてある文字をすべてそのまま読まないケースがあります。 特にフランス語に顕著で、語末の子音はほとんどの場合読まれませんね。単語が複数形になったとしても、語尾の「s」は発音されないので、冠詞や形容詞など、周囲の語に気を付けて聞き取らないと、単複どちらかがわかりません。 普段ドイツ語になれてしまうと、フランス語のこうした特徴は非常にやっかいです。 ドイツ語では、外来語による例外を除くとほとんどの場合書いてある文字は発音されます。フィンランド語なんかもそうですね(ドイツ語以上に正書法が整備されているので、「音にするだけ」ならばフィンランド語は日本人にとっては比較的簡単な言語です)。 フランス語と同じロマンス語でありながら、イタリア語やスペイン語も、比較的書いたとおり素直に読み上げることができます。 英語は、ゲルマン系とロマンス系のハイブリッドだけあって、このあたりの基準は実にいい加減です。たとえば、単語の語尾に「gh」がついていて、「through」のように全く読まないケースもあれば、「tough」のように「F」音になるケースも。 こうした綴り字の例外の多い言語は、本来ならば最初に学ぶ外国語としては適していないように思えます。 「through」の「ou」にしたって、いろんな読み方があります。「ought」と「out」とか、仕方ないのでおぼえるしかないのですが、腹立たしくなりませんか? いっそのこと、「through」じゃなく「throo」にしちゃえばいいのに。 フランス語に戻ると、「grand」「grands」は主語の単複によって綴りが変化するものの、読みは全く同じですよね(「まいにちフランス語」で4月にやりました)。 読まなきゃ読まないで良いんですが、すぐ後に母音がくると、突然復活してきたりしますから油断なりません。結局、音の他に綴りを常に気にしないといけない。こうした言葉の場合、テキストを閉じて耳から学んでも、初学者にとってはもとの単語の綴りが想像すらできない、という事態が生じます。 耳から、は苦手 私は特に「印刷された字を読む」という学習スタイルに順応しすぎてしまったせいか、外国語の音声教材を聞いてもなかなかそのまま音をまねて発話することができません。 一度綴りに戻って、その読み方のルールを把握して改めて発話する、というスタイルは、おそらくかなり非効率な語学学習スタイルでしょう。けれど、対象の言葉にある程度慣れてくるまでは、とてもじゃないですが、聞いた音だけでの訓練は無理です。 良く、語学学習での「耳の善し悪し」ということが言われますが、これで行くと私は確実に「耳が良くない」グループに入ります。 ひとまず会話ができることを目指す外国語学習では、これはかなりのハンディといわざるを得ません。即席で挨拶くらいができるようになるのは、きっと聞いた音を片っ端から反復しておぼえちゃうタイプの学習者ですね。 旅行の時には多少苦労しますが、なにも話せるようになることだけが語学のすべてではありませんからね。 と、自分を納得させつつ、「耳の良い」人はうらやましいです。ほんとに。 |
2013年6月22日 (土)
ビジュアル辞書としてのGoogle検索
「Phablet」ってなーんだ? さて問題です、「Phablet」ってなんでしょう? どれどれ、と辞書を調べても、この単語はおそらく載っていません。なぜなら、ここ1,2年に新たに使われ始めた新語だから。英和辞典に掲載されるとしても、もうしばらく先になるでしょう。 そういえば、「tweet」や「retweet」が、辞書に載るようになった、というニュースが最近流れましたっけ。 最近では、なにかわからない言葉があると、辞書ではなくoogle先生に質問する人がほとんどでしょうから、この単語も調べればすぐにわかります。 私の環境だと、最初に出てくるのは英語版のWikipediaの項へのリンクで、次のように定義されています。
ファブレットとは、5〜6.9インチのスクリーンをもつスマートホンの一種で、スマートホンとタブレットの機能を併せ持つことで二つの機器を同時に持ち歩く必要がなくなる。 でもよくわからない さて、普段からスマートホンなどのデジタル機器の動向に敏感な人ならばともかく、「スマートホンって、iPhoneとは違うの?」くらいに横目で眺めていると、上記の定義を見ても、それがいったい何なのかを具体的にイメージすることは難しいでしょう。 これだけだと、「そんなのたまにニュースや雑誌を見てりゃ、わかるはず」なんていう意見も出そうですから、別の例を出しましょう。 第二問です。「Eintopf」ってどんな料理でしょうか? 読み方は「アイントプフ」、直訳すると「一つの鍋」です。ドイツ語であることと、この意味を見れば、おそらくヨーロッパの料理に関心のある人であれば、「ああ、あれか」とおわかりではないかと。 でも、スマートホンやタブレットの最新情報を日々チェックしていても、アイントプフなんて食べたことはおろか、聞いたことさえない、というかたも多いのではないでしょうか。 ちなみに、同じくWikipediaでの亭語は、以下の通りです。
アイントプフは、ドイツの伝統的なシチューで、非常に多くの材料が用いられる。実際のところ、この名称はすべての具材を一つの鍋で煮るという調理方法を示しており、特定のレシピを指すものではない。 まあ、何となくわかったような、でも、日本の鍋物だってそうだよね...というところではないでしょうか。 そこで画像検索 私が、こうした目新しい言葉の具体的なイメージをつかむために多用しているのが、Google検索です。 ただし、普通に検索するのではなく「画像検索」を使います。Googleでの検索結果を表示する画面の上部には、検索語を入力するボックスのすぐ下あたりに「ウェブ 画像 地図...」と検索の範囲を切り替えるためのメニューが並んでいます。 ここで、「画像」をクリックしてみてください。 「Eintopf」で画像検索すると、ほら、おいしそうな料理の写真が並んでいますよね。これを見ると、たしかにさまざまなレシピがあることがわかります。 これなら、「そういえば、似たようなのを食べたことがある」と思い出せるのではないかと思います。普段から料理をしているかたであれば、これらの写真を見ただけでも自己流アイントプフをつくることだってできるでしょう。 時間があったら、「Phablet」でも同じように画像検索をしてみてください。 写真を見れば一目瞭然、スマートホンではあるけれど、液晶画面が非常に大きくて「iPad」のようなタブレット代わりにも使いやすくつくられたものだということが直感的に理解できます。 この画像検索のおかげで、海外の文化についても文章だけで想像するより、遥かに簡単に具体的なイメージをつかむことができます。 旅行ガイドブックで見られる写真には限りがありますが、これなら数多くの写真や、場合によってはビデオからより多くの情報が得られますね。かつては考えられなかったほどに便利です。 こういうことで喜んでいると、「そんなやり方では想像力が育たない」などとお叱りを受けそうですが、さてどんなもんでしょうか。 少なくとも私は、子供のころ「真っ赤なあまいぶどう酒」とか「豚の塩漬け肉」なんていう文字を見て、「きっとおいしいんだろうなあ」とは思いましたが、それ以上の想像なんてなかなかできませんでした。 あまり堅いことをいわず、より多くの文化に気軽に触れられるようになったことを、ポジティブに考えたほうが、きっと人生幸せだと、私は思います。 |
2013年6月29日 (土)
二兎を追う
趣味なんだから 一般的には、二兎を追う、というのはネガティブな表現ですよね。 しかもできっこないよ」「そのうちに失敗するから見てようぜ」的なニュアンスまで感じてしまうのは、私の人生が決して順調じゃなかったことの表れでしょうか。 今年のプロ野球の大きな話題のひとつに、日本ハムの大谷選手による「投手と野手、両方への挑戦」がありますが、常に「二刀流」と表現されます。「投手と野手の二兎を~」となると、「一兎をも得ず」につながってしまうことを嫌ってのことでしょう。 でも、こういう場合に適切な日本語表現は、「二刀流」じゃなくて「二足のわらじ」じゃないのかな、とも思いますけど。バット二本振り回すんじゃないんだから。 さて、大谷選手にとっての野球は仕事だし、周囲にとっても非常に期待の大きな才能であることから、あれこれと口を出してしまいたくなるのは仕方ないでしょう(球団にとっては投資案件なわけだしね)。 でも、これが個人の趣味となれば、別に「最終的に兎の肉を得る」ことが目的であるとは限らないのだから、「二兎を追う」ことじたいが楽しい、というありかたも、文句を言われる筋合いはないわけです。 英語学習の傍らフランス語も、という語学への取り組みがあっても、何ら問題はなし。 「そんなコトしてると、どっちも中途半端になって時間の無駄だぞ」というご意見はもっともですが、大人が楽しみでやっていることにあれこれ口出しすることの方が、よほど無粋というものです。われわれは安心して「二兎を追」ってかまいません。 でもどうせなら とはいえ、楽しみとして複数言語を同時に学ぶとしても、どうせなら結果(対象言語について、多少なりとも習得レベルを引き上げる)が得られたほうが嬉しい、というのもまたたしかでしょう。 今回は、そんな欲張りな学習者へのアドバイスを掲載したブログのご紹介。外国語のオンライン学習サービスを運営する会社(オフィスはボストンとメキシコにあるようです)である「LIVE LINGUA」のブログです(なお、この会社のサービスそのものの利用者ではありませんので、宣伝する気はありません)。 記事タイトルは「Learning Two Languages at the Same Time」です。 500語強の短い記事なので、ざっと読んでいただくのがよいのですが、とりあえず5つの項目を紹介すると、次のようになっています。 1. Take Your Time 2. Budget Your Time Unevenly 3. Practice Every Day 4. Choose Two Very Different Languages (if possible) 5. Speak, Speak, Speak どうでしょう、奇数番号など、「何だ当たり前のことじゃん」と感じるかもしれません。 たとえ学習言語がひとつであっても、時間を割いて毎日学習することは、ほぼすべての学習法で重要とされていることですし、たくさん話す機会があるほど学習効果が高まるのも、直感的に納得できます。 外国語学習の秘訣、みたいな記事って、多くの場合は「当たり前のこと」が書いてあります。これって、結局は「思いついたときに苦労せずにちょっろっとできることをやる」だけでは言語なんて習得できない、ということの表れ。うまい具合にショートカットする方法なんて、ないのですよね。 時間を割り振る さて、5つの項目のうちの2番目に出てくる「Budget」という表現、面白いですね。 この言葉が最も多く使われる場面は、会社などの「予算」と、あとは「お得な、お安い」という意味で使われるケースでしょう。「Budget Travel」というも雑誌あります。 この単語は動詞としては、「予算を立てる」「~の使用計画を立てる」「~を予算に見積もる」という意味となります。 すなわち、「Budget Your Time」は、「時間を配分しなさい」ということですね。しかも「Unevenly」です。均等ではなく。 これまた当然のことで、中学校以来の文法や語彙の蓄積がある英語と、始めて触れる言葉(たとえばフランス語)に同じ時間を配分して学習していたら、フランス語はいつまで経っても英語以上には上達するはずがありません。 たとえば英語が10分、フランス語には30分、といった具合の「傾斜配分」が必要。これはもう、国や会社の支出配分と同じですね。すべてに平等なのは、公平かもしれないけど効果的じゃないし最適でもない。 なお、どんなふうに割り振るのがおすすめかは、ぜひ原文を読んでください。 私はお調子者なので、ちょっと英語への苦手意識が解消されてくると、今度は次々に新しい言葉に触れてみたくなってきました。 そうですねえ、とりあえず旅行でのコミュニケーションが何とかなり始めた(なので、たぶんA2からB1にさしかかったくらいのレベル)ころから、他に手を出したくなって現在はドイツ語との「二兎を追」ってます。とうぜん、なかなかドイツ語という兎はつかまらないわけですが、時間を大幅に傾斜配分したおかげでレストランでの注文くらいは何とか。 こうなると、「じゃ、次は何にする?」という邪念が浮かんでくるのですね。まあ、趣味だから良いんじゃない、と振り出しに戻ってオシマイ。 |