2013年6月29日 (土)
二兎を追う
趣味なんだから 一般的には、二兎を追う、というのはネガティブな表現ですよね。 しかもできっこないよ」「そのうちに失敗するから見てようぜ」的なニュアンスまで感じてしまうのは、私の人生が決して順調じゃなかったことの表れでしょうか。 今年のプロ野球の大きな話題のひとつに、日本ハムの大谷選手による「投手と野手、両方への挑戦」がありますが、常に「二刀流」と表現されます。「投手と野手の二兎を~」となると、「一兎をも得ず」につながってしまうことを嫌ってのことでしょう。 でも、こういう場合に適切な日本語表現は、「二刀流」じゃなくて「二足のわらじ」じゃないのかな、とも思いますけど。バット二本振り回すんじゃないんだから。 さて、大谷選手にとっての野球は仕事だし、周囲にとっても非常に期待の大きな才能であることから、あれこれと口を出してしまいたくなるのは仕方ないでしょう(球団にとっては投資案件なわけだしね)。 でも、これが個人の趣味となれば、別に「最終的に兎の肉を得る」ことが目的であるとは限らないのだから、「二兎を追う」ことじたいが楽しい、というありかたも、文句を言われる筋合いはないわけです。 英語学習の傍らフランス語も、という語学への取り組みがあっても、何ら問題はなし。 「そんなコトしてると、どっちも中途半端になって時間の無駄だぞ」というご意見はもっともですが、大人が楽しみでやっていることにあれこれ口出しすることの方が、よほど無粋というものです。われわれは安心して「二兎を追」ってかまいません。 でもどうせなら とはいえ、楽しみとして複数言語を同時に学ぶとしても、どうせなら結果(対象言語について、多少なりとも習得レベルを引き上げる)が得られたほうが嬉しい、というのもまたたしかでしょう。 今回は、そんな欲張りな学習者へのアドバイスを掲載したブログのご紹介。外国語のオンライン学習サービスを運営する会社(オフィスはボストンとメキシコにあるようです)である「LIVE LINGUA」のブログです(なお、この会社のサービスそのものの利用者ではありませんので、宣伝する気はありません)。 記事タイトルは「Learning Two Languages at the Same Time」です。 500語強の短い記事なので、ざっと読んでいただくのがよいのですが、とりあえず5つの項目を紹介すると、次のようになっています。 1. Take Your Time 2. Budget Your Time Unevenly 3. Practice Every Day 4. Choose Two Very Different Languages (if possible) 5. Speak, Speak, Speak どうでしょう、奇数番号など、「何だ当たり前のことじゃん」と感じるかもしれません。 たとえ学習言語がひとつであっても、時間を割いて毎日学習することは、ほぼすべての学習法で重要とされていることですし、たくさん話す機会があるほど学習効果が高まるのも、直感的に納得できます。 外国語学習の秘訣、みたいな記事って、多くの場合は「当たり前のこと」が書いてあります。これって、結局は「思いついたときに苦労せずにちょっろっとできることをやる」だけでは言語なんて習得できない、ということの表れ。うまい具合にショートカットする方法なんて、ないのですよね。 時間を割り振る さて、5つの項目のうちの2番目に出てくる「Budget」という表現、面白いですね。 この言葉が最も多く使われる場面は、会社などの「予算」と、あとは「お得な、お安い」という意味で使われるケースでしょう。「Budget Travel」というも雑誌あります。 この単語は動詞としては、「予算を立てる」「~の使用計画を立てる」「~を予算に見積もる」という意味となります。 すなわち、「Budget Your Time」は、「時間を配分しなさい」ということですね。しかも「Unevenly」です。均等ではなく。 これまた当然のことで、中学校以来の文法や語彙の蓄積がある英語と、始めて触れる言葉(たとえばフランス語)に同じ時間を配分して学習していたら、フランス語はいつまで経っても英語以上には上達するはずがありません。 たとえば英語が10分、フランス語には30分、といった具合の「傾斜配分」が必要。これはもう、国や会社の支出配分と同じですね。すべてに平等なのは、公平かもしれないけど効果的じゃないし最適でもない。 なお、どんなふうに割り振るのがおすすめかは、ぜひ原文を読んでください。 私はお調子者なので、ちょっと英語への苦手意識が解消されてくると、今度は次々に新しい言葉に触れてみたくなってきました。 そうですねえ、とりあえず旅行でのコミュニケーションが何とかなり始めた(なので、たぶんA2からB1にさしかかったくらいのレベル)ころから、他に手を出したくなって現在はドイツ語との「二兎を追」ってます。とうぜん、なかなかドイツ語という兎はつかまらないわけですが、時間を大幅に傾斜配分したおかげでレストランでの注文くらいは何とか。 こうなると、「じゃ、次は何にする?」という邪念が浮かんでくるのですね。まあ、趣味だから良いんじゃない、と振り出しに戻ってオシマイ。 |