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人生まだ半分、37才からの外国語
d-mate

英会話教室や雑誌、ネットなど、ごく普通の環境だけで始められ、続けられる外国語学習の記録と秘訣を伝えていこうと思っています。
 

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人生まだ半分、37才からの外国語

2009年10月20日 (火)

なにかのイジメですか~ドイツ語の複合語
Geschwindigkeitsbegrenzungってアナタ...
毎度のことながら周回遅れで聞いているラジオ講座「毎日ドイツ語 ドイツ語、基礎のきそ」も、みなさんに遅れること約1ヶ月にして、ようやく最後の週に突入しました。
まずはテキストを見ずに、スキットの内容が単語レベルまで聞き取れるまで繰り返し...って、なんですか、まったくわからない暗黒のエリアがあります! 「ゲシュビン~カイト~グレン~ング」って一体何?
 
軽いパニックを起こしつつ(そういえば、ドイツ語教室でも良く「Keine Panik!」と声をかけられる私であります)、しょうがないのでテキストを開きました。
問題の単語とは、「die Geschwindigkeitsbegrenzung」、速度制限のことでした。分解すると、「die Geschwindigkeit」が「早さ、速度」で、「die Begrenzung」が動詞「begrenzen」(=制限する、限定する)を名詞化した「制限、限度」。ふたつの単語を「s」でつなげて「速度制限」。ハイ、良くわかりました。
 
それにしても、ドイツで暮らしていると、本当に「速度制限」という意味を伝えるために、毎度「ゲシュヴィンディッヒカイツベグレンツンク」って発話するんですかホントに?
Google翻訳で、「速度制限」と入れて日本語からドイツ語への変換を試してみると、「Speed Limit」ってでますよ。こっちのほうがずっと簡単じゃないですか。
さらには、「der Geschwindigkeitsmesser」(速度計)やら「die Geschwindigkeitsüberschreitung」(速度違反)やら、登場しましたが、すいません、憶えられません!
 
まあでも「外国語」として比較すると
さて、パニックが収まってからじっくりと考えると、日本にやってきた外国人がいきなり「速度制限」という漢字を見せられたときの感覚だって、似たようなものかもしれません。
 
「速」は「ソク、はや...い、すみ...やか」の読みで、意味は「はやい、すみやか、間がちぢまっている、テンポやスピードが速い」
「度」は「ド、ト、タク、たび」の読みで、「ものさし、長さをはかる規準、尺度」
「制」は「セイ」の読みで、「余計なところを切り捨て、必要なところだけを取って形を整える」「はみでるところや、かってなふるまいなどを押さえる」「人民を押さえて取り締まるきまり」
「限」は「ゲン、かぎ...る」の読みで、「そこまでとしるしをつける、区切りをつけてとめる」
 
順番に手許の「漢字源」で調べてみましたが、これを並べて「速度」「制限」という言葉が生まれ、さらに組み合わせて「速度制限」になるといわれたって、きっとちんぷんかんぷんですよね。
実際には「速度」「制限」でそれぞれ意味を調べるにしても、なぜ「速」「度制限」じゃないのか、「速度制」「限」にはならないのか、考え出すとキリがありません。
 
さらには漢字は似たようなものが多い上に意味が全然違ったりします。
「限」と「根」と「恨」、私たちが漢字に触れたことのない外国人で、日本語を学ぼうと考えたとき、これらの文字の違いを正確に理解して使い分けるのなんて、とうてい無理に思えることでしょう。
 
ハイ、もう一度「die Geschwindigkeitsbegrenzung」
さて、もう一度見てみましょうか、このイジメのような長い単語を。
前半の「Geschwindigkeit」は、もちろん「geschwind」(=速い、すばしこい)に語尾がついて名詞化されたもの。
手許の辞書から例文をひっぱると、次のようなのが出てきます。
 
 Er ist geschwind bei der Arbeit. (彼は仕事が早い)
 Er ist geschwinder Zunge. (彼は口が達者だ)
 
ふむ、「die Zunge」が気になりますな。「舌、話し方、話しぶり」だそうで。
調べてみると、「eine falsche Zunge haben(うそつきである)」「eine feine Zunge haben(舌が肥えている)」「eine lose Zunge haben(口が軽い)」なんてのが並んでいます。緩んだ舌、たしかに軽そうであります。
 
後半は上述のとおり、「begrenzen」という動詞が名詞化した「begrenzung」です。こちらも例文を見てみると、次のようなのが。
 
 Berge begrenzen den Horizont. (山々が空と大地とを分けている)
 Deutschland wird im Süden durch dir Alpen begrenzt. (ドイツはアルプスが南の境界となっている)
 
ほうほう、なんだか雄大な自然が見えてくるようです。
こんな風景を見たいので、私たちはドイツへ行きたいのですよね。急にイジメ用単語としか思えなかった「Geschwindigkeitsbegrenzung」が身近に感じられるようになりました。
 
日本人だってやっている
ドイツ語といえば、このように複数の単語を並べてつなげた、なが~い単語の宝庫ともいえます。
「何考えてこんなに長い単語作るんだか」というのは、ドイツ語学習者が一度は抱いたことのある感想じゃないでしょうか。英語みたいに、あいだにスペースを入れて名詞を並べたってかまわないのに、「marketing research」も「das Marketingresearch」とご丁寧に続けて書いちゃう。
 
でもこれって、日本人も割と得意のやり方ですね。そもそも日本語には単語を分かち書きする習慣がないわけですが、「全子会社企業経営健全度指標調査結果報告書概要」とか、書いてませんか? あ、そこまでひどいことしないか。
たしかに「すべての子会社の、企業としての健全さの度合いを示す指標に関する調査結果の報告書の大まかなまとめ」と書いても、日本人である私にはわかりやすくなるわけではありません。むしろ、まどろっこしいと感じます。しまいには「全健報告」とか略し始めたりして、外部からはなんのことやらさっぱり...(ちなみに、上記の報告書は実在しません、でっち上げです)
 
きっとドイツ人にとっては、「Geschwindigkeitsbegrenzung」くらいどうってことないのでしょうね。
これって、私たちが「Geschwindigkeits」「begrenzung」とあいだに一呼吸置いても、ちゃんと通じるんでしょうかね。きっと大丈夫のような気もしますが、絶対ダメ! とかいわれちゃうとやだなあ。
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maringe Author Profile Page:

Hallo d-mateさん,
guten Morgen! Wie geht es Ihnen?
そういえば夏に先生が長~い単語を紹介してたな~とノートをひっくり返しましたが
メモすら取ってませんでした(汗) 奨学金申請か何かの単語でした。
スペイン人の女の子が挙げた Orangensaftkonzentrat(オレンジ果汁濃縮液)は
しっかりメモってあったのに(笑)
 
つなぎ目がすぐにわかれば、意味の見当もつけやすくなるかもしれませんね。
この場合ですと、まず名詞を作る ~keit で切れる。
先頭車両が異様に長いけど、天気予報で見かける単語(風速)に似てるな~、と。
後尾車両は Grenze に似てるな~、be- は他動詞を作る帽子だったかな~、
こんな感じで「楽しんで」取り組むしかないのかも。実際は「苦しんで」ですけど(T_T)

シュタイントギル:

ドイツ語の複合語、初級の段階では皆、苦労しますね。私が使ったドイツ語のテキストの第3課あたりに出てくるStaatsangehörigkeitという単語。区切りがなく、発音も難しく閉口しましたが、国籍という意味。なるほど、国という名詞と、所属するという動詞を過去分詞にして名詞にした言葉の組み合わせです。このドイツ語テキスト、ドイツで働く外国人労働者の学習用にできています。外国人が役所に登録する際には不可欠な言葉であり、初級段階でも登場したのでしょう。
 こうした複合語も、レベルが上がるにつれて、違和感はなくなります。そして、ドイツ語がいかに造語能力に優れた言語であるかに気がつきます。
 中級、上級レベルとなると、英語ならイディオム、フランス語なら暗喩を多用しますが、ドイツ語の場合、既知の単語の組み合わせを活用します。だから、推測がつきやすく、イディオムを覚える必要は英語より少ないのではないかと思います。
 複合語は、日本語の漢字利用にそっくりで、明治時代の日本人は実用的な英語を使いながらも、様々な制度はドイツから多く輸入したのは、こうしたドイツ語の概念構築の容易さは制度構築に便利と考えた背景があったのではないかと思います。
  

  

d-mate Author Profile Page:

英語と比べると、ドイツ語の複合語はやたらに長いので、ぎょっとしますよね。
 ただご指摘のとおり、表現の幅を広げる上での複合語というテクニックは、個々の単語がわかれば類推もできやすいし、優れた手法といえそうです。英語のように、個々の単語の意味を重ねてもたどり着けないようなイディオムを覚えていくのと、どちらを選ぶか。
 英語は英語で、「なぜこんなに意味不明の慣用句が多いの?」と文句ばかり言っているのですが、ある程度のところまで進めれば、ドイツ語のほうが合理的で理解しやすく感じられそうです。あとスラングが多すぎても困りますし。
 最近、「GSG-9」というドイツ語のドラマを見ているのですが、台詞の中で普段教科書などに出てくる表現がそのまま使われているのに気がつくことも多いです。あれは警官だから「正しく」しゃべっているのでしょうかね…