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人生まだ半分、37才からの外国語
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英会話教室や雑誌、ネットなど、ごく普通の環境だけで始められ、続けられる外国語学習の記録と秘訣を伝えていこうと思っています。
 

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人生まだ半分、37才からの外国語

2013年7月10日 (水)

誰かが私を見つめてる!?
ストーカー?
本日のタイトルは、曲の名前です。それもかなり有名な、ジャズのスタンダードナンバーで、「ポーギーとベス」でもおなじみのガーシュイン兄弟によるもの。
でもこのタイトル、ちょっと怖くありませんか? だって、誰か知らない人があなたのことをじっと見つめてるんですよ、まるでストーカー。

この歌詞ストーカーじゃん、というと私が真っ先に思い出すのは、スティングによる「Every Breath You Take」です。
君の一挙手一投足を見つめているよと並べた上に、「Oh, can't you see / You belong to me」でっせ。たとえ相手がスティングでも、これは引くんじゃないかな。

あ、ストーカーの話じゃありませんでした。曲のタイトルの話。
この邦題、実はとんでもない誤訳としても有名です。

Toを忘れるな!
この曲の原題は、「Someone to watch over me」といいます。
「誰かが私を見つめてる」、うん、正しいじゃん。と思ったあなた、英文法の「不定詞の形容詞的用法」の項目を読み直しましょう。

そう、「I want something to drink.」というときの「to drink」です。
ここから、目的語となっている「something to drink」を取り出しても、意味としては「何か飲み物」になりのであって、「何かが飲んでいる」には決してなりません。

なので、「Someone to watch over me」は「私を見守る誰か」になります。
歌詞を読むとわかるのですが、この歌の主人公である「私」は、人生の伴侶を求め、「その人(someone)」はいったいどこにいるの? と歌っているのです。
したがって、彼女を見つめている「誰か」は、まだ彼女自身には認識されていないのですよ。「誰かが私を見つめてる」は、まったく意味を取り違えた誤訳ということになります。そもそも、「Someone」が主語であるなら、toなしで「Someone watches over me」になるはず。

さすがに誤訳をいつまでも使い続けるわけにはいかないのでしょう。「優しき伴侶を」などのちゃんとした邦題も、使われているようです。

帰ってくれればうれしいわ?
もうひとつ、ジャズのスタンダードナンバーで不思議な邦題に「You'd be so nice to come home to」があります。
ヘレン・メリルがクリフォード・ブラウンの素晴らしいトランペットをバックに歌ったアルバム(ジャケットは、まるでマイクに激突したかのよう)でとても有名。

この邦題とされているのが、大橋巨泉氏によるものらしい「帰ってくれればうれしいわ」
つまり、女性が夫(ないしはパートナー)の帰宅を待っている歌であるということになりますが、これまたまったく逆。
タイトルをよく見ましょう。最後に「to」がくっついています。「You」は「come home to」する対象として「nice」なんですね。したがって、「家に帰る」のは「You」ではなく、「Youと呼びかけている私」です。

こうなるとこのタイトの意味は「It would be nice to come home to you.」ということになりますね。「君/あなたが待っている家に帰るのがうれしい」のです。
なお、さすが巨泉氏、のちに「あれは誤訳だった」とみとめておられたとか。ただ、本来の意味でこなれた邦題は未だになく、結局は「ユード・ビー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」と長ったらしい曲名になっちゃってるのは残念。せっかくなら誤訳を吹き飛ばす名訳をお願いしたかった。
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