
2010年1月30日 (土)
ちょっとドイツ語でグリム童話
四半世紀ぶりに 昨年から本格的にドイツ語の勉強を始めたわけですが、実は大学での第二外国語の選択はドイツ語で、一応教養課程で1年半、勉強をしています。 とはいえ、最初の半年は基礎文法、そして1年間は短編小説や一枚物の評論文なんかを順番に和訳するくらい。クラスには40人以上いましたから、和訳の順番が回ってくるのは2週間おきでしたので、なにかが身についたということもありません。 そんなプリント教材の中に、リム兄弟による「Aschenputtel」がありました。 ドイツ語に全く興味がないと、「Aschenputtelって、いったい何?」と思うかもしれません。日本語では「灰かぶり」、意地の悪い継母とその二人の娘に毎日こき使われ、寝床は台所の竈のそばなので灰にまみれている美しい娘の話。そう、「シンデレラ」の原型の一つですね。 子供の頃に読んでいた子供向けの世界文学全集には、グリム童話とペロー童話の両方が収録されていて、「なんで似たような話が別々に入っているんだ?」と不思議に思っていました。当時はお話というものは、必ず誰か特定の作者による創作物だと思っていたのですね。 少し前に、自宅のMacに「Stanza」という電子ブックリーダーのソフトをインストールして、ネットからさまざまな文章をダウンロードして読んでいます。 著作権の切れた古典などはあちこちのサイトで無料のテキストが公開されていますし、また、URLを指定して開くこともできますから、文書主体のサイトであれば文字サイズを変更して快適に読むこともできます。 今日は思い立って、グリムの「Aschenputtel」を読んでみました。実に前回読んでから四半世紀以上です。ま、ストーリーは忘れませんけど。 単語がわからなくてもだいじょうぶ さて、読み始めると予想通りに1行ごとに未知の単語が出てきます。 ただ、この話は日本語で何度か読んでいますし、童話だけあってあまり複雑な構文が登場しませんから、何となくこんな意味だろう、と推測しながら読み進めることができます。念のため辞書を引きながら読み進めましたが、辞書なしでもなんとかなるくらい。 これがあまりよく知らない話だと、こうはいかないでしょうけど。 主人公の灰かぶりが父に土産として頼むもの、継母が舞踏会に連れて行く条件として出した難題、そして二人の姉が小さな靴に足を押し込むためにしたことなど、グリム童話には私たちがよく知っている「シンデレラ」(まあ、一番なじみがあるのはディズニーの映画でしょうか。ペロー童話のほうが、比較的近いです)とはかなり違っています。 そういえば、何年か前に童話といいながらけっこう残酷な描写の多いグリム童話を紹介する本が、ベストセラーになったこともありましたね。類似本もたくさん出ていました。 一度でも読んだことがあれば、こうした印象深い要素は覚えているもので、ドイツ語で読んだときにも「あ、これはあのシーンだな」と思い出せますので、すべての単語が既知である必要はありません。 おおむね30分ほどで読み終わりましたが、読み方としては精読と流し読みの中間くらい。 これをもう少し繰り返していけば、語彙を徐々に増やしつつ読むスピードと精度を高められるでしょう。 とはいえ、「Aschenputtel」並に内容を理解しているドイツ語のお話など、そうそうはないのですけどね。ま、グリム童話はほかにもたくさんあります。ひとつひとつの話は短いので、苦痛になる前になんとか読み終わるのが良いですね。 そうそう、今回読んだのはこちらにおかれていたものですが、どういうわけか最後のパラグラフが削られていました。うーん、残酷だから教育的配慮をしたのでしょうか? Wikisourceのほうには、ちゃんとしたのが載っているようですし(しかも改訂毎の各バージョンがそろってますね)、どうせ読むのなら、カットされていないもののほうが良いでしょう。わりと初心者でも読めるドイツ語教材として、おすすめです。何たってタダだし。 |
大学時代のドイツ語教材を思い出しますね。私は、文法をひとまず集中的にやり、後は購読という古典的な学習法には否定的(大学のドイツ語学習は悪夢でした?)で、むしろ、d-mateさんが今、語学学校で学んでいる総合学習の方が遙かに優れていると思っています。
というわけで、グリム童話も、この際、折角ならCD教材で耳で楽しむことをおすすめします。オペラやドラマを楽しんでいるd-mateさんですから、ドイツ文学も朗読で味わうのが素晴らしいと思います。NHKのラジオドイツ語講座応用編でも20分時代には文学作品の朗読を多くとりあげていましたね。
投稿者: シュタイントギル | 2010年2月 2日 22:21
日時: 2010年2月 2日 22:21
どのやり方がもっとも効果的なのかは、目的にもよるのでしょうが、少なくとも「文献を読む」ことよりも「コミュニケーション」を重視するのなら、あまり文法を重視しても飽きるだけかもしれません。
おすすめのリスニング、ちょっと試してみました。といってもCD教材を買ってきたのではなく、朗読ファイルがパブリックドメインで公開されているサイトでダウンロードしてみたのですが。
普通のスピードでただ流しているだけでは、ここのフレーズは聴き取れませんねえ。知っている話で、しかも最近文章で読んでいるから、「あ、あのへんだな」とはわかりますが。
ちょうどいまやっているNHKラジオの「フェリックスの日記帳」も5回くらい繰り返し聞いてようやくわかってくるくらいですので。ま、そうそう簡単に聞き取れるようになるはずがないので、気長にやってみようかと思います。
投稿者: d-mate
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2010年2月 3日 21:17
日時: 2010年2月 3日 21:17
ドイツ語のリスニング、英語と同様に地道にやっていくといいと思います。それに英語学習でヨーロッパ言語の体系に慣れているとドイツ語はとっつきやすいはずです(当面は英語の部分がドイツ語に置き換わったりで混乱が続きますが)。
大切なのは、日本語から外国語に翻訳することではなくて外国語で考えるということなのではないかと思います。d-mateさんも、ドイツ語ブログを書き始めていらっしゃいますが、Aschenputtelを自分の物語として改作してみるという勉強法もありますよ。
投稿者: シュタイントギル | 2010年2月 6日 22:22
日時: 2010年2月 6日 22:22
「大切なのは(略)外国語で考えるということ」
そうそう、これなんですよね。英語でなら、ようやく日本語からの翻訳ではなく英語で考えながら言葉を出せるようになってきたのですが、ドイツ語では相変わらず日本語で話すことを考えてから、ドイツ語に直しています。 この状態では、なかなかテンポの良い会話はできないのですよね。
おっしゃるとおり、最近は英語とドイツ語が混ざってきてなかなか切り替えができません。ひとつ目よりはふたつめの習得は楽になるし、みっつ目はさらに楽だと思いながら続けるしかありません。
お、NHKで「ランスへの旅」が始まりました。しばらくイタリア語の世界へ、行ってきます。
投稿者: d-mate
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2010年2月 6日 23:16
日時: 2010年2月 6日 23:16