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人生まだ半分、37才からの外国語
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英会話教室や雑誌、ネットなど、ごく普通の環境だけで始められ、続けられる外国語学習の記録と秘訣を伝えていこうと思っています。
 

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人生まだ半分、37才からの外国語

2011年7月19日 (火)

日本語から考える外国語表現
泳げるようになった
「〜できるようになる」というのは、外国語で言い表すのに苦労する言葉の一つですね。
「英語ができるようになりました」と英語で言いたいとしましょう。「〜になる」は「become」なので、「I became〜」と言い始めて、「英語を話せる」なので「〜to speak English.」と言えばいいのでしょうか? いえ、違いますよね。
そもそも「話せるようになりました」は「話せます」なのですから、「Now I can speak English.」と言っちゃえばいいわけです。以前はダメだったけど、いまは話せます。

こんなふうに「〜になる」という日本語の表現を、できるかぎりニュアンスを活かしながら外国語で表現してみよう、という本があります。
白水社という会社から出ている「日本語から考える○○語の表現」というシリーズ。これまでにフランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、中国語そして韓国語が出版され、英語とポルトガル語が続刊予定。

我が家には当然イタリア語とドイツ語があるのですが、この本、外国語表現を問う日本語のお題の部分はすべて同じです。山田敏弘さんという日本語の専門家が日本語に独特な表現方法の解説を2ページで行い、それぞれの外国語の専門家が対応した外国語表現を解説してくれるというもの。ドイツ語は清野智昭さんが担当しています。

直訳しない
対象者としては、一通り文法の学習などを終えた中級クラスが想定されているようです。
このため、登場する単語や文法に関する解説はほとんどなく、もっぱら日本語のお題をいかに外国語に写し取るかの工夫が中心です。ただ読み進めるのではなく、お題が出たところで一通りドイツ語訳を試みるのですが、半分くらいは予想できなかった表現方法が出てきます。

間違うケース(といっても、この場合「ニュアンスを写し取る最適解」であって「正解」ではないのでしょうが)は、やはり日本語の表現に引きずられたケースが多いです。
冒頭に書いた「I became〜」みたいなパターンですね。
日本語はドイツ語やイタリア語とは違う言語なのだから、独特の表現をそのまま直訳したって、珍妙な表現に聞こえてしまうのはやむを得ません。

中学校のころに図書館で、やたらに「〜という、それは感覚であった」などという、おそらくは「It was a feeling that〜」あたりの文を直訳した表現が頻出する小説を読んだことがあります。
話の筋がどうという以前に、この「異様な」日本語を平然と世に送り出した翻訳者と出版社の発想を疑ったものでした。
でも、私たちが外国語でなにかを表現するとき、まったく似たようなことをやっていることが多いのでしょうね。

違う言葉=違う表現アプローチ
言語そのものが違うのだから、表現したい内容を表すアプローチは当然異なります。
私がドイツ語で未だにうまく使えないのが、「noch」「nur」「schon」「aber」「mal」などの、文の途中においてニュアンスを付け加える語群です。
ドイツ語では、こうした語によって話し手の感情や立場などをうまく伝えますね。
これらが使い分けられるようになって初めて、会話としては初級脱出かな、と思っているのでまだまだ道のりは遠いです。

母語である日本語でなら、造作もないニュアンスの伝達が、外国語ではとても難しい。
これはまあ当たり前のことで、外国語が母語と同じようにすぐに苦労なく使えるなんてことは、あり得ないわけです。運と努力と才能がそろっていれば比較的短期間でも可能かもしれませんが、だいたいは一つか二つしかそろわないので、あとは時間をかけて訓練するしかありません。

とはいえ、なにも目標や道しるべなく闇雲に苦労を重ねてもしょうがありません。
学問に王道なしとは言いますが、多少効率的な方法はあるはず。この「日本語から考える〜」のシリーズは、何度も読み返し、例題を外国語で表現しながら解説を繰り返し読むことで、多少なりとも近道がたどれる可能性があります。
1900円とやすくはないものの、一回飲みに行くのを我慢したと思えば余裕です。夏休みの学習教材として、いかがですか?

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