2013年8月 3日 (土)
旅行と、スマホ&タブレット
分厚いガイドブックは もういらない...とまでは言い切れないのですが、今回、ミュンヘンに四泊、エクスアンプロヴァンスに五泊の旅行を通じて、ガイドブックを持ち歩く必要は、ほぼありませんでした。 では、スマホ(Galaxy Note)やタブレット(iPad mini)でマップアプリを使いまくっていたのかというと、実はそうでもありません。結局使ったのは、前者ではガイドブックから切り離した市内地図、後者ではツーリストセンターで無料配布していたガイドマップ。これで十分。 ガイドブックは、あちこち行きたい場所やお店を事前にチェックしておき、渡り歩く旅には便利だと思います。 けれど、私の場合はあまり買い物好きでもないし、名所を順番に経巡るような歩き方もしません。なんとなく気の向くままに散歩しながら、気に入った場所があれば写真を撮り、目についたお店を冷やかす程度。マップで確認するのは、今自分がどこにいるのかということと、今晩のビールはどこで飲もうか、と考える時くらい。 マップアプリを使わなかった理由のもう一つが、スマホ内蔵のGPSの精度の低さでした。しばらく使っていても、自分が実際にいる場所とはかなりずれた位置しか示してくれず、これでは当てにありません。 普段東京で歩いている分には、多少の狂いがあっても修正しながら使えるのですが、初めて訪れた場所では邪魔になるだけです。それに、あまり画面に気を取られて歩いていると危険ですし。 辞書とGoogle翻訳 辞書はもちろん大変便利に使いました。何といっても活躍するのは、レストランなどで得体のしれないメニューを見つけた時、それが一体どんなものかを想像するとき。 だいたいこういう場合には食材や調理法を示す単語の意味がわからないので、その場で調べて確認します。もっとも、こういう時にお店に人にどんどんと質問してしまう積極的な人も多いでしょうけど。私はどうもそういうのが苦手なので。 ドイツでは未知の単語も比較的少ないし、iPadにはオフラインで使える辞書もインストールしてあったのですが、フランスでは少々使い勝手が落ちました。迷った挙句、辞書アプリは購入せずに渡航したので、使えるのはオンライン状態でないと利用できない、無料のGoogle翻訳だったので。 旅行中は、スマホのローミング契約はして行かずに、空港で受け渡しのできWiFiルーターをレンタルして行きましたのでネット回線はありました。ただ、バッテリーの持続時間に不安があったので頻繁に電源を切り替えていたために使い勝手はどうしても低下しました。 注)あるWiFiルーターのレンタル業者が、今年の四月に大規模な情報流出事件を起こし、さらには流出についての公表が大きく遅れたという事件がありました(ちなみに、被害者への対応は「自社レンタルサービスの割引」のみ)。私も被害者の一人で、おかげでカードを再発行しています(不正利用が一件取り消された形跡もありました)。もしお使いになるのであれば、この件を確認の上で、安心のできる業者を選ぶことをオススメします。 それでも、Android版のGoogle翻訳に搭載されている、カメラとの連携機能はとても便利。 メニューの該当部分をパチリと写して、翻訳させたい部分をなぞるだけですぐに訳語が表示されます。フランス語からダイレクトに日本語にすると、時折意味の通じないことがあるので、ほとんどフランス語から英語への自動翻訳で済ませました。料理なんかはだいたいわかるもんです。 意外に使わなかったのは ミュンヘンについては、市内の地下鉄(SバーンとUバーンがありますが)の運行状況をリアルタイム表示してくれるアプリがあって、「これは便利そうだ」と入れて行ったのですが、実際には使いませんでした。中心部では次から次へと電車がやってくるので、方向さえ気をつければアプリで何かを確認する必要などなかったのです。 同様に、上述のようにWiFiルーターを借りて行ったので、市内の無料WiFiスポットを検索するアプリも、一度か二度使っただけでした。 エクスアンプロヴァンスについては、市内のガイドブックアプリを持って行ったのですが、こちらも結構狭い街とあって、必要ありませんでした。半日も歩き回っていれば、概ねどこに何があるかが把握できてしまいます。 こうなれば、大まかな紙のマップさえあれば何とでもなってしまうのですね。 旅行の初日くらいは、せっかくなのでビジュアル旅行記でも作ろうかと、iPadでも写真を撮り、写真やフリーハンドの図形、文字等をレイアウトできる便利なアプリにあれこれ書きつけていました。 こちらも、本格的にあちこちを歩き始めると、いちいちカメラの他にiPadでの撮影が面倒になってしまい、あっという間にやめてしまいました。もともとマメなほうではないので、これはまあ予想通り。 一方で、妻は毎日の行動を結構細かく記録に残していたみたいです。まだ読ませてもらっていませんけど。 |
2013年8月15日 (木)
自動翻訳があれば...
翻訳ソフトウェアの進化 つい9年前、会社の研修で米国の大学での短期授業を受けた際に、一緒に渡米した同僚が使っていた自動翻訳ソフトは、正直なところ実用には程遠いものでした。 一週間の授業の最後に行うプレゼン資料は英語でなければならなかったので、日本語を手っ取り早く英語にする手段として使っていたのですが、そもそも「英語に直すことを前提としてない」日本語を、自動翻訳にかけてみてもまともな英文は出てきません。結局、通訳の方がフォローすることにして、説明は日本語でも可、というはなはだ中途半端な発表となりました。 このときは、私もまだ英会話教室に行き始めてようやく2年が過ぎたところで、英会話が何とかなる状態ではありません。もちろん、課題のプレゼン資料を英語で作成することなんてとても独力ではできなかったので、同じように自動翻訳を使いました。 注意するのは、主語述語の明確な、そして文と文とをつなぐ接続詞をきちんと使った日本語を書くことです。これで、あとの作業はかなり楽になります。 そのままでは使えないことはわかっていましたので、出てきた英文を最初からきちんと英語として読んでみる、というのがポイントです。日本人にとってもなんとなく不自然な言い回しや、やたらに難しい単語があれば、そこをアナログ式に手直しします。同じ単語や表現が続く場合にも、言い換え語がないかを確認。時間はかかりましたが、それなりに格好はつきました。 日進月歩のIT技術にとって9年というのはものすごく長いもので、今では手のひらに収まる携帯電話で、当時の翻訳をはるかに上回る実用性のある訳文が得られるようになりました。 しかも、今では数十の言語を相互に自動翻訳可能。このまま行けば、すぐにもSF映画でおなじみの翻訳装置が完成しそうな勢いです。もしかしたら、これから生まれてくる子供達には語学学習なんて不要になるかも? そうはうまくいかない いやいや、そうはうまくいきませんよね。 自動翻訳の精度が上がってきたとはいっても、現状では「とりあえず何が書いてあるかを理解する手助け」になるレベルです。 同じように未知の言語からの翻訳でも、日本語がわけがわからないのに対して、英語のほうはそれなりに理解のできる文章になっている、ということも多いですね。 Google翻訳は旅行中も大変便利に使っていますが、ダイレクトに日本語になおしても意味がわかるとは限らず、英語に訳してその英語を理解したほうが、正確に意味を把握できることが多いというのは、みなさん経験済みじゃないでしょうか。 また、たとえばドイツ語から日本語にした場合と、一度英語にしてから再度日本語に直した結果とが一致するケースがあるところをみると、そもそも各言語から日本語に翻訳しているのではなく、一度中間で英語を介在しているようにも思われます。 それならば、万能の仲介役である英語を理解できたほうが、現状では自動翻訳を効率良く使える、といえそうです。 やっぱり英語 日本人とフランス人とフィンランド人が話すのに、それぞれの言葉を理解できるように学ぶのは非現実的です。実際には、三人とも習得可能な一つの言語を選び、共通言語として使うことにするのが手っ取り早い解決策です。 で、その共通の言語が、今は(多分これからしばらくの間も)英語である、ということです。 これは、人と人とのコミュニケーションだけでなく、機械による言語変換でも同じだということでしょう。自動翻訳技術は各言語と英語との部分に開発を集中させれば、効率的に実用化が可能です。 日本語とドイツ語、フランス語、スペイン語...と延々と作り続けるのは、とても非効率です。 となると、仲介役である英語をダイレクトに理解できれば、コミュニケーションがより上手にできるようになる、という状況は、当面は変わらなそう。 むしろ、英語以外の言葉を学ぶ理由は、その言葉が使われる地域の文化や生活、人々によほどの興味がなければ、必要性とか効率性とは無縁の行為、となってしまいそうです。 なんだか、ドイツ語学習者としては気分の悪い結論なんですけどね。 |
2013年8月20日 (火)
海外BD、でも日本語入り
スタートレック スタートレックといえば、いまや多くのかたが想像するのは新作の公開間近の映画のほうかもしれません。 新作「イントゥ・ダークネス」はアメリカでは5月に公開されていたにもかかわらず、日本では3ヶ月も待たされることとなり、そのぶん期待度も高まっているのではないでしょうか。クリス・パインやザッカリー・クイントなど前作からのメンバーに加えて、ドラマ「シャーロック」で一躍スターとなったベネディクト・カンバーバッチも出演してますし。 とはいえ、やはりスタートレックといえば、日本では「宇宙大作戦」として知られるTVドラマシリーズ(The Original Series、略してTOSと呼ばれることが多いです)であり、それに続く「新スタートレック」(The Next Generation、こちらはTNG)でしょう。 その後も3つの作品がつくられ、前5シリーズで700エピソード近くにもなる巨大な作品で、熱狂的なファン(トレッキー/Trekkie)が多いことも知られています。 ブルーレイは日本語入り さて、このスタートレックの全エピソードを収録したブルーレイディスクが発売されると聞いて、一瞬は購入を検討しました。 が、自宅の本棚には、5シリーズ196枚分のDVDが鎮座しています。すでにDVDで購入済みのドラマを再度ブルーレイで買うのか、DVDはどうするんだ、といった問題を解決せねばなりません。もちろん1シーズンあたり2万円前後という価格もネックです。DVD下取りセールとか、ないのですよね。 ところが、輸入品の北米バージョンの仕様を見ると、「字幕: デンマーク語, オランダ語, フランス語, ドイツ語, イタリア語, 日本語, ノルウェー語, スペイン語, スウェーデン語」とあるのですよ。 あれれと思って調べてみると、どうやら北米で売られているものにも、日本語音声と字幕が収録されていて、日本のプレーヤで再生できるらしいのです。 しかも、Amazon.comならば1シーズンあたり50~70ドルで買えます。書籍よりもCDやDVDなどの送料は割と安いことも、以前の買い物で確認済み。 となればもう、行動あるのみ。8月11日に注文を入れ、そう高くもなかったので一番早い配送オプションを選択、14日には不在連絡が入って15日に受け取りました。何とたったの4日間です。世界が狭い。 5日間のお盆休みで、ディスクにして8枚ほど、30エピソードほどを観ました。 久しぶりだったのでとりあえずは日本語音声ですが、妻のリクエストでフィンランド語字幕(上記の仕様には書いてないのですが、収録されてます)を表示させてみます。普段は日本語で聴き慣れたスタトレ用語が、フィンランド語で表示されるのはやはり新鮮です。 DVDで字幕の切り替えができるようになったときも、語学教材としての用途が広がったのですが、多言語への対応が標準になったブルーレイがあれば、わざわざ他の教材にお金を払う必要もなさそうです(もっとも、おぼえられるフレーズに偏りが出そうですけど)。 それにしても、北米と日本とで、売られている商品の仕様は同じということでしょうかね。 結局は全世界共通仕様でつくってしまったほうがコストも低くなるし、もちろん買う側としてもありがたい。映画なんかもこうなっていくと嬉しいのですが。 |
2013年8月22日 (木)
毎日続けられることから
継続は力って、わかってるけど... 外国語の学習においては、「継続は力なり」は絶対の真実であると断言してかまわないでしょう。毎日短時間でも継続している人のほうが、たまに集中して長時間学ぶ人よりも、必ず遠くまでたどり着けます。 しかも、毎日10分20分の時間が捻出できないほど忙しい人というのは、そうはいません。1時間は無理でも、10分なら必ずあります。なので、「そんなの無理です」とはいえない。 でもねえ、やっぱりその10分の捻出ができないのが悲しい現実です。 その時間がないワケじゃなく、なんとなくボーッとしたい、スマートホンやPCで面白そうな動画を見つけちゃった、ツイッターに書き込んでたらついつい時間を忘れて...そんなもんです。 自律の不足だといわれればそれまでだし、「その程度の気持ちしかもってないんじゃ、無理だよ」と指弾されても認めるしかないのですが、でも、そんなものでしょう。 好きなことなら 学習の目的にもよりますが、関心のない教材や素材がいくらあっても、毎日どころか一日だって続けられません。 日本語だって一緒ですよね。「本を読まなきゃ」なんて思っていても、興味のない本を義務感で読んだって面白くないし、内容も頭に入ってこないので時間の無駄です。 外国語だって同じ。たとえば私はハリウッドスターの私生活になんか一切興味がないので、その手のブログやらゴシップ記事ばかり読まされたら、ものの3分で投げ出すでしょう。 なので、やっぱり好きなこと、多少の苦労は苦労じゃなくなるくらい関心のあることに集中するのが良いんじゃないかと。 あるいは、「まあ好き」くらいでかまわないので、そこで話題になっていることについてそこそこ知識なり経験があって、内容を理解しやすいものなんかも、良いですね。 たとえば、あのポップコーンについて たとえば、このニュースサイトの記事なんか、どうでしょう。 "What are the best snacks at the Tokyo Disney theme parks?"(http://www.themeparkinsider.com/flume/201308/3611/) タイトルでおわかりですね。みんな大好き東京ディズニーリゾートのスナックに関する記事です。スクロールすると長いですが、大丈夫、見慣れた風景や食べたことのあるあのスナックの写真がたくさんあるからで、文章量はそれほどでもありません。 これなら、パラグラフ単位で何度かにわけながらでも、読み進められますよね。 Google検索だけでなく、さまざまなニュースやブログから特定テーマの記事を集めてくれる、キュレーションサービスが増えてきています。自分の関心にあった記事が、しかも毎日配信されているので、なかから気になったものをピックアップして読むだけ。イマイチ乗れなかったら次の記事。 これなら、電車に乗って通勤や移動の間の10分間を学習タイムにできます。ツイッターやLINE(使ってないのでどんなもんだか知りませんが...)はちょっと我慢。ほんの10分、メッセージへの返事が遅れたからって、友達は減りゃしません。 |
2013年8月25日 (日)
短いから続けられる
長文の基準 みなさんはどのくらいの文章量から「長文」と感じますか? 例えばこのブログは長文でしょうか。 これは単純に長さだけの問題ではなく、書き手の力量にもよりますけどね。長くても飽きさせない文章はあるし、それほどの分量がなくても投げ出しがちなものもある。 ネットにつながるのがPCばかりだった頃と違って、携帯電話やスマートホンなどの比率が高まっているので、以前よりは長文と判断される閾値は下がってきているようにも感じられます。 そもそも、この「ゴガクル」もモバイル版のトップページだと、ゴガクルブログへのリンクが一切ありませんから、モバイル中心のユーザーはこのブログの存在すら知らないかもしれません。 私の実感だと、PCでもタブレットでも、3回以上スクロールする文章だと、「あ、ちゃんと読まないと」という印象ですね。長い、というよりも、読み方のモード切替が必要な分量、といえます。 スクロール2回くらいなら、字面を目で追いかけていればだいたい内容が把握できますが、それ以上だとちゃんと部分部分を理解していかないと、途中で筆者の設定したストーリーラインが見えなくなってしまいがち。 この私的基準は、不思議なことに日本語でも英語でもだいたい同じです。 長い=しんどい、ではないけど 長文だからといって理解するのが大変かといえば、そうでもありません。140文字の制限のあるtwitterに流れるつぶやきが理解しやすいかといえば、そんなこと一概にはいえませんね。 ある程度の長さがある文章のほうが、必要な情報をきちんと盛り込めますし、論理建てがしっかりしていれば理解はしやすいものです。 とはいえ、長い文章だと読むのに時間を要する、という問題もあります。 これが日本語ならばともかく、英語他の外国語で書かれている場合、余計に時間を必要としますね。雑誌1ページは日本語ならば5分10分でおつりがきますが、英語だとちょっとギリギリ(もちろん内容や英文の難易度によりますけど)。 語学学習はとにかく継続が大切、となると、長い文章を三日おきに読むくらいなら、短いものを毎日読んだほうが良さそうです。 こと、語学学習と情報収集を兼ねて外国語の文章を読むのなら、短くまとまった文章を意識して選ぶのもひとつの考え方です。 私のおすすめ 私がこの観点で読んでいるのが、「Harvard Business Review」が運営するサイトでほぼ毎日更新される、「The Management Tip」という連載です。 この連載が適している理由は次の3つ。 1)内容に関心がある 2)短いのでたとえば昼休みにサッと読める 3)毎日更新される 1)は何度も書きましたね。英語学習のためだからといっても、関心のないテーマについて毎日英文を読み続けることなんて、そうは続きません。 私も一応は会社員であり、マネージャでもありますし、もともと経営学科を卒業もしていますから、「Harvard Business Review」の掲載記事のほとんどは関心の対象です。 2)についても、この連載は日によって多少の差はありますが、10行以内程度。 慣れてくれば5分10分で読み終えられます。きちんと日本語に訳しながら読んでも30分はかからないでしょう。 これならば、始業前や昼休み、あるいは通勤電車の中でもサッと読めますね。隙間時間が有効活用できたようで、気分も良くなります。 3)も大事です。 関心のある、適度な長さの文章を毎日探していたのでは、時間が無駄です。毎日更新されるということは、一定時間毎にアクセスすれば必ず新しい文章に出会えるわけですから、いちいち検索したり誰かに情報を求めたりする必要がありません。 会話に場数が必要であるように、読解力も量をこなさなければ向上しません。それも、ラクに読めるレベルだけではなく、多少がんばって読む対象が必要です(多少、のレベルをきちんと把握しましょう)。 短いからこそ続けられる、こういった情報源、ぜひ探してみましょう。 |
2013年8月29日 (木)
ドヴォルザークは料理が上手
じぇじぇじぇ 今年の流行語大賞は「じぇじぇじぇ」で決まりじゃないか、と思えるほどの「あまちゃん」大ヒットですが、みなさん観てますか? 私は朝8時に自宅にいることはまずないので、全部で10話分くらいしか観ていません。週末にまとめてみる、というほどのファンでもないので。それでも、「じぇじぇじぇ」は3回くらい聞きましたから、よほどの頻度で使われてるんでしょうね。 私はまだ、この言葉を本物の岩手県のかたの発音で聞いたことがないんですが、おおむねテレビの中の発音と一緒なんでしょうか。 意外に方言の発音の中には、単純化されてしまった標準語とは微妙に異なる音が含まれますよね。アクセントのおきかたも変わってくるので、けっこう真似をして発音するのが難しかったり。 この「じぇ」とう音にしても、標準語の中ではあまり使われない音ではないかと思います。 「じょ」ならば「冗談」「情報」「上昇」などがありますし、「じゅ」だって「受注」「順番」「重厚」と出てきます。でも、「じぇ」だとなかなか思いつきません。 九州のほうでしたっけ、「絶対」が「じぇったい」、「全然」が「じぇんじぇん」になる地域がありますね。思いついたのはこれくらいです。 チェコ語の最難関 「じぇじぇじぇ」の「じぇ」とは音が異なりますが、カタカナで表記するなら「ジェ」とするしかない発音が多用される言葉に、チェコ語があります。 この問題の「じぇ」は、「ř」という文字ですが、手元にある本には「巻き舌のrと同時にžを発音します。」と書かれています。「ž」は普通に「ジャ、ジュ、ジョ」と音を出せばいいということなので、これはなんとかなるのですが、巻き舌と同時に、となると口の中で曲芸を演じる羽目になります。 チェコ語の発音における最難関、ということなのですが、難関どころか発音は一生無理なんじゃないかと思えるほど難しい。 有名なところでは、チェコを代表する作曲家であるアントニン・ドヴォルザーク(Antonín Dvořák)の「ザ」のところがこの音です。 でもまあきっとチェコ人にとっても簡単ではないのだろうから、そうそう多用はされないのだろうな、と思っていたのです。 ところがどっこい いま読んでいるチェコ語の入門書は、ゴガクるみなさんの友、白水社から出ている「チェコ語表現とことんトレーニング(高橋みのり・著)」です。 ただいま29ページ目の第8課、動詞格変化の2項目なのですが、ここまでにすでに3つも「ř」を含む単語が登場しました。しかも、これがいかにもよく使う語なんですよ。 ひとつは「言う」という動詞の「řikat」、そして「料理する」という動詞の「vařit」、みっつめが「上手に」という副詞の「dobře」です。どうですか、これ、使うでしょ。 本日のタイトル「ドヴォルザークは料理が上手」をチェコ語に直すと、「Dvořák vaři dobře.」になるのです。なんとなんと発音不能の「ř」が連続3回登場です。言えない言えない。じぇったい無理。 英語だったら「Smith cooks well.」だし、ドイツ語なら「Schmidt kocht gut.」です。どっちも発音自体は簡単でしょ。 でも、「Dvořák vaři dobře.」ではこの文がさっと思い浮かんだとしても、口から出ないですよ。もう諦めて「ドヴォジャーク ヴァジィ ドブジェ」と発音するしかないですね。それで通じるのかな? いやもう、将来いつかはチェコにビールを飲みに行きたいとは思っているのですが、これは先が長そうです。 |