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人生まだ半分、37才からの外国語
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人生まだ半分、37才からの外国語

2013年9月23日 (月)

え、「予定はない」の?
アンケートなんて
複数のWEBニュースサイトで「東京オリンピック、飲食店やサービス業の英語力は?」なる記事が掲載されています(私が最初に見たのは、「Business Media誠」)。
なんでもオンライン英会話のサービス会社が実施した調査結果らしいのですが、残念ながらいまのところ(書き始めは9月17日火曜日)アンケート結果はそのサービス会社のサイトには掲載されていないようです。

アンケートに基づく記事によると、首都圏在住でサービス業・飲食業従事者(25~59歳)の男女484人の回答を得たものらしいです。
だいたい、アンケート結果というものはどのような母集団にどんな調査票を使って行うかで、かなり内容がぶれるものです。学術調査ではなく、マーケティング用の調査なんてほとんどは予め用意したストーリーに説得力を持たせるために集めるようなものですから、あまり信用せずに参考情報として見ておくのが良いものです。

半数以上は来客増に期待
記事には二つの円グラフと、ひとつの棒グラフが載っています。
円グラフのひとつは、「オリンピックが開催されたら、お勤め先の来客数や売上の増加を期待しますか?」という質問への回答です。
「大いに期待する(22.7%)」と「やや期待する(28.9%)」を合わせて、50%超の回答者が期待しているとのこと。もっとも、商売をやっていて来客や売上増に「期待しない」というのが30%弱いるというのは、「これ以上忙しくなっちゃかなわん」ということでしょうか、不自然にも思えます。

期待の内容は本文に二つだけ紹介されていて、「外国人観光客の来店客数の増加」が37.4%、「特別商品・サービスの提供」が21.7%なんだそうです。
設問の内容が定かではありませんが、「期待している」人にその内容をシングルアンサーで質問しているとすれば、約19%の回答者が外国人間顧客に期待をしていることになります(51.6%×37.4%)。すなわち、首都圏のサービス業・飲食業従事者の5人に1人は、オリンピック開催に伴って海外からの来客増に期待しているのですね。

でも英語は話さないし、学ばない
さて、その海外からの来客に対応する英語力については、「まったくないと思う(48.6%)」「あまりないと思う(28.5%)」と、合計77.1%が自信なさげです。
日本人というのは必要以上に謙虚なところがあって、この8割弱の人たちもいざとなったら身振り手振りも含めてナントカできちゃう、ということがけっこうあります。実際に「まったくなんともならない」ひとはこの半分以下なんじゃないかと。

とはいえ、全体の8割弱が英語力に自信を持っていません。
でも5人に1人は外国人観光客にもっときてほしいわけですから、ここは英語学習のチャンスと思うのが自然でしょう。次には英語学習の状況についての棒グラフが登場します。で、これが衝撃の内容。
「英語学習の状況についてあてはまるものを教えてください」という問いに対しての回答で最も多かったのは、「学習する予定はない」で、なんと59.9%です。首都圏の(すなわち普段でも外国人への接客機会は多いはず)サービス業・飲食業従事者の実に6割は、今後も英語を学習するつもりがないのですね。これは衝撃。

続く回答は、「学習を始めたいと思っているが、何も手をつけていない」で30.2%。
すごいですね。「今後も学習のつもりがない」と「その気はあるが何もしていない」を合わせると、実に90.1%が現時点では接客用の英語をなんとかしようとはしていないのです。
(「まだやってない」だけですぐにも始めるかもしれない、という指摘があるでしょうが、「英語必要だけど、まだやってない」人って、その状態が何十年も続くものですよ。少なくとも、私は大学卒業から15年間そうでした)

期待しないんだったらいいけど
いやねえ、全体の半数以上は来客増に期待していて、5人に1人は外国人の来客増に期待しているわけでしょ。
なのに、英語での積極には8割が自信を持っていなくて、それを改善しようという行動を起こしているのは1割にも満たない。これはかなり深刻な矛盾です。端的に言えば、「お客にはきてほしいけど、口は利きたくない」っていってるようなもんですから。

冒頭に書いたとおり、これは英会話サービス会社が取ったアンケートなので、「こんなにも日本人は英語が苦手、でも我が社の簡単なオンラインレッスンなら...」というストーリーのための調査なんでしょう。
日本のメディアは日本人がいかにダメか、という話が大好きですから、きっと記事にも仕立てやすいんだと思います(私もこうやって引っかかっている)。なので、出てきた情報をそのまま受け取って騒ぎ立てる必要は、ないかもしれません。

でもねえ、飲食店なら英語のメニューを用意しておくとか、最低限必要な挨拶だけはおぼえて練習しておくとか、すぐにでもできることがあるでしょう。
その程度は当然やっているけど、「英語学習の状況」だとは思っていないだけかもしれないけれどね(そう期待したい)。

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