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人生まだ半分、37才からの外国語
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英会話教室や雑誌、ネットなど、ごく普通の環境だけで始められ、続けられる外国語学習の記録と秘訣を伝えていこうと思っています。
 

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人生まだ半分、37才からの外国語

2014年1月18日 (土)

流行語大賞は、「Because」!?
流行語って流行したの?
地デジのテレビ番組をほとんど見ずに、一部の海外ドラマと音楽番組と紀行番組ばかりをCATVで眺める生活をしていると、多少不便なこともあります。
たとえば、「話題のCM」を私だけ見てないとか、芸能人の名前をいわれても全く誰のことかわからないとか。とっても困るわけじゃないけど、人と話すときに少々困惑されることが多くなる程度ですけど。

加えて、年末になると発表される「流行語大賞」というのがなんだか遠い世界の出来事にしか思えない、というのも代表的な症状。
昨年でいえば、「今でしょ!」「お・も・て・な・し」「じぇじぇじぇ」「倍返し」が選ばれたそうなんですが、いずれも「たしかに流行った」ことはわかっても、「じぇじぇじぇ」を除いて周囲でこれらの言葉を使っていた人を私はほとんど知りません。これが2013年の日本を代表する言葉だとすると、実に薄っぺらいんじゃないかと(まあ、毎年そうですけどね)。
元ネタになっている塾講師や銀行が舞台のドラマの主演男優の顔は暑苦しいだけだし(私は押しと我が強いばかりの中年男が嫌いなのだ)、滝川クリステルさんはきれいだけど流行語というよりがオリンピック招致成功のご祝儀っぽいしね。なんかこう、いろいろと商売がつながっているだけなんだろうな、という感想です。

Word of the Year
しかるに海外は、なんていうつもりはありません。
たとえば、辞書でおなじみの「Oxford Dictionaries」による「Word of the Year 2013」に選ばれたのは「Selfie」。日本語でいうと「自撮り」でしょうか。

 a photograph that one has taken oneself, typically one taken with a smartphone or webcam and uploaded to a social media website

てのが定義だそうです。辞書の会社が選ぶだけに、そのまま辞書に掲載される形で発表するのが、もともと「現代用語の基礎知識」あたりが源流の流行語大賞とは性格を異にしてます。
でも、選んでるのは「自撮り」ですからね。カッコつけた流行語大賞、というくらいの位置づけなんではないかと。

辞書関連でいうと、Merriam-Websterが選んだのは「Science」だったそうです。ふむ。多少格調高くしたいのでしょうか。
Gesellschaft für deutsche Spracheが1971年以来選び続けているWort des Jahresのほうは、「GroKo(=Große Koalition)」だったそうで、こちらは「大連立」ってのはたしかに納得。

Because busy
さて、辞書制作者だけでなく、American Dialect Societyが1990年以来選んでいるWord of the Yearというのもあるそうで、2013年に選ばれたのはなんと「Because」だったそうです。
これまた新鮮味のない単語が選ばれたものです。こんなの、中学校で早くも習う単語で、おそらく日本人の60%以上は(控えめにみても)意味を知っているでしょう。さらに30%以上は、接続詞としてあとに文を従えるか、もしくは「because of ~」という形で名詞ないし名詞句を取る、ということも知っているはず。

もちろん、なんの理由もなく選ばれるはずもなく、選定の理由をみて私はけっこう驚きましたよ。選定理由は、以下の通りです。

 The selection recognized that because is now being used in new ways to introduce a noun, adjective, or other part of speech.

すなわち、名詞や形容詞を直接従えて使われるようになってきた、ということなんですね。

 I was late because of traffic jam.

ではなく

 I was late because traffic jam.

でOKと。形容詞でもOKなんだから、「I can't do my homework because busy.」でも良いのだと。
いや、これ英語の先生たち困るだろうなあ。

学校教育では、最先端でなくても一般に広く認められた基礎的な知識や原則を教えることが求められますから、やっぱりbecauseに名詞をくっつけたければ「because of」という形を使うように教えねばならないでしょう。
「I was late because traffic jam.」という答案に×をつけたら、WEBサイトのコピーを手にモンスターペアレンツが怒鳴り込んできたり、接続詞に名詞を直接続けられるなら、「I'll do my homework when arrival.」でも良いんじゃないかと、理屈っぽい生徒の質問攻めに遭ったり、帰国子女が「私の友達はそういってた」とか援護射撃を始めちゃったり、いや想像するだけでもめんどくさい。

こうやって一応の「権威付け」がなされたからといって、相手の人となりもわからないうちからbecauseに名詞を続けて使ってしまうと、「部長、この企画ヤバイっすね!」などと会議で発言してバカがばれちゃうようなことにもなりかねません。
言葉は生きているもの、変化するものなので、わかって使うぶんには問題ないとは思います。とはいえ、その判断がつかないままに「便利な言葉」に飛びつくのが若さというもの。
英語教師のみなさん、今年は「because」が「要注意単語」になりますよ。

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