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人生まだ半分、37才からの外国語
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英会話教室や雑誌、ネットなど、ごく普通の環境だけで始められ、続けられる外国語学習の記録と秘訣を伝えていこうと思っています。
 

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人生まだ半分、37才からの外国語

2014年2月11日 (火)

「敵性語」だからできなくて当然?
a Japanese-only-speaking aging male club
いやはや、大雪に翻弄され、ソチオリンピックで盛り上がった寝不足の週明けは、驚くべきニュースで開けました。
それがこちら。

 Olympics-Old boys club? What old boys club?, asks Tokyo 2020(Reuters.com)

ソチで、2020年の東京五輪・パラリンピック組織委員会会長として、森喜朗氏が会見を行った際のやりとりが報じられているもの。
記事の主題としては、相変わらず女性や若者が不在で、「英語を話さない高齢男性だけのクラブ」でオリンピックが運営されようとしていることへの、海外からの率直な驚きと疑問の声でしょう。

承知に向けたプレゼンテーションでは、女性や若者が大いに活躍して、おそらくポジティブな印象を与えただけに、いざ組織委員会が活動をはじめると「Old Boys Club」であったとなると、それはそれはネガティブな印象が強まることでしょう。
そもそも、ソチの地で外国のプレスを対象に行ったブリーフィングで、日本語話者だけが並んでいるというのは、最大級の国際イベントの主催者としてはいささか情けない、という感覚はなかったのでしょうか。IOCには英語の堪能な選手やスタッフがたくさんいたでしょうに。

敵性語はできなくて良いのか
日本語でしか話さないことへの質問に対して、森氏はこのように答えたとあります。

 "I was in second grade when the war (World War Two) ended and until then English was considered the enemy's language," Mori said.
 "If I should make a huge mistake (by speaking English incorrectly) it could lead to problems," said Mori, who is head of Japan's rugby union.(Reuters.com)

すなわち、「私は終戦時に(小学)2年生であり、そのときまで英語は敵性語だった」「もし間違ったことをいったら問題になるだろう(から、英語では話さない)」ということです。
たしかに、首相時代にも支持団体の会合で「日本は神の国だ」とぶちあげた際の対応や、えひめ丸の事故の際にはゴルフのプレーを続けたことの説明がどうみても拙かったといった、メディアとのつきあい方が下手な人であったという印象があります。メディアに「揚げ足をとられる」のはゴメンだ、という気持ちはわからないでもない。

でも、英語を話せない理由として「小学校2年生までは敵性語だった」といわれてもねえ。
まず、小学校2年といえば8歳です。たった8歳で森氏の精神はすでに成熟して、以後価値観の転換を受け入れることはできなくなったのでしょうか? 終戦時に30代40代だったならともかく、そんなことを英語になじめない理由にしても、説得力があろうはずがありません。
小学校2年生では英語を学ぶには遅すぎるというのなら、もう義務教育から英語外しちゃったらいかが?

また、敵性語であっても、いや、敵性語だからこそ、英語でのコミュニケーション可能な人物には需要があったはずです。敵性語なので英語を話せる人は少ないのだ、というのはちっともロジカルではありません。
おそらく8歳ではそんなことは理解できなかったでしょうから、本気で「鬼畜米英」などと信じ込んだまま大人になっちゃったのかもしれませんけどね。

メディア対応に苦労したわりには
歴代の首相の中で、メディアによって悪印象を流布されたという点では森氏は一、二を争うのではないでしょうか。
当時の報道がすべて事実だったとは、自民党が好きではない私だって思いません。おそらく誇張や、ためにする報道も多く含まれていたことでしょう。

疑問なのは、あれほどメディア対応に苦労させられた森氏が、なぜ今度は海外メディアを相手に、しかもオリンピックというそもそもグローバルな視野や視点を要求されるイベントについて、まるで国内の新聞でも相手にしているかのような軽口を発してしまったのか、ということです。
「オレは終戦の時は小学生で、当時は敵性語だったからねえ。英語はやっぱり身に付けようという気にならなかったんだよ。そういう人も多いんじゃないですか?」
こんな感じで、国内のメディア相手に話したとしても、そんなに大きな問題ではなかったでしょう。でも、今回は違う。愚者は経験に学ぶといいますが、経験にさえ学べないとなるとこれは一体何と呼べばいいのか。他にいかなる功績があっても、国を代表させられる人じゃないでしょうね。

今からでも遅くないので、組織委員会には海外でのメディア対応に関するプロをちゃんと雇って、招致活動を同じだけのパワーをかけた広報体制を整えないと、せっかくのチャンスだというのに「日本は相変わらずの Old Boys Club」という印象を強めるだけの結果を招きかねません。
責任ある立場にいる人たちは、例え英語が話せなくても、国際社会から日本はどう見えているか、という理解だけはしておくよう、お願いしたいものです。

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