2010年9月10日 (金)
前回の転身シリーズでは、自分のディクテーションノートをメーリングリストに投稿して学習をサボれない状況に追いやったという話をしました。
その他にも自分が逃げられない、勉強をせざるを得ない状況へ追いやる工夫はしてきました。
まず、講師たちが集まっている組織に入りました。どうせ入るのなら、日本語で英語指導法を学ぶよりも、思い切って英語で学んでみようと、ネイティヴスピーカーたちが多く所属するところに入りました。
全国に支部があります。支部のミーティングに出ていくと、3時間びっちり英語漬けになります。当然、私はみんなが何を話しているのだかわかりません。ただ、黙ってそこに座っているだけの時間が過ぎます。
月に一度のミーティングはついつい足が遠のきそうになってしまいます。だって、私、ネイティヴたちが話していることがわからないんですもの。
そこで考えました。ここで、ミーティングへ足を運ぶのをやめてしまったら、私の英語はここでストップするだろう。これ以上は進歩しない。どうするか?
ちょうどその頃、支部の役員決めをする時期でした。英語がわからず引っ込み思案になっている私の気持ちとは裏腹に、私の腕が上がってしまいました。そうです。役員に立候補してしまったのです。スタッフになったからには絶対にミーティングをサボることができません。
こうして、私は自らを逃げられない状態に追い込んでいきました。
この組織では多くのことを学びました。英語だけでなく、英語圏でのものの考え方や会議の進め方、セミナーの行い方など。通常、日本ではセミナーなどに行くと、最後まで黙って話を聞いているじゃないですか。質疑応答は大抵最後ですよね。彼らのやり方は違うのです。スピーカーが話していても、自分が少しでも疑問に思うことがあればどんどん聞いていきます。スピーカーでない人同士で意見交換が始まることもまれではなく、プレゼンを行っているスピーカーは、そんなやり取りをこなしながら時間内にプレゼンを終える、という高度なテクニックを使います。
この組織に入ってもう10年以上、最近、やっとほんの少しだけ声が出せるようになってきた私です。10年でやっとここまでですよ。この組織が年に一度開催する大きなカンファレンスに出席したときは、英語の渦に圧倒されて、「私、英語ぜんぜんわからないじゃない!」 とホテルに帰って大泣きしたという話は私の著書を読んでくださった人ならよくご存知ですよね。
でもこの組織のある支部が来月、私を何とスピーカーとして招いてくれています。またご案内しますので、もしお時間のある方いらしてみてくださいね。茨城のつくばで行います。(10月10日)
その他にも自分を追いやる工夫はそのつどそのつどしてきました。また追々お伝えします。
(つづく)
Sanaeさん、お久しぶりです。今、週末でちょっとだけゆっくりしています。
「自分を追いやる」ことに関して、私はSanaeさんほどガンガンやってないですが、たまに、「節目」的に追い込んでしまうみたいですね。「きついから本当はやりたくはないんだけどなぁ、引き受けたら、また睡眠時間削ってやってしまうだろうし・・嫌だなぁ」などと弱腰になるのが基本なのですが、私の場合、クリスチャンで神様と日常的に対話してる中で、「あ、どう考えても神様が『今やってごらん』と仰ってるなぁ、となると、これはやらないといけないなぁ」というのが分かったならば、結果的には、「はい、やります」と言(ってしま[!])うんですね。
会を進めるような役とかは全然しませんし、会でのプレゼンターも今現在やることもありません。(後々も来ないように・・と願ってしまう弱気な私です!)
ただ、先月、ものすごく急に、全州レベルでの「成人識字教育スキル・カンファレンス」に出席する人員の一人に指名された時、丁度上のような状況でした。例えば、「ESL(English as a Second Language)」とか「TESOL(Teaching [or 'Teachers of'] English to Speakers of Other Languages)」といった内容は長年慣れ親しんできた分野なのですが、今回の場合、Adult Literacyは馴染みが無く、いきなり「私はABE teacherです」と言われても、ABEって何の略?と思考がストップしてしまっていましたので、こんな風な略語が、その『業界人』向けにたくさん出てきてしまったらどうしよう?分からなくなる!でも参加費をコミュニティー・カレッジ側が出してくれる代わりに、レポートを書かなくてはいけなかったので、理解しないといけませんでした。・・(因みに、ABEはAdult Basic Educationの略でした。これは、high schoolをdrop outした人たちのためのコースなどのことを指しています。)実際は、けっこう門外漢にも分かりやすく、を心がけたようなプレゼンばかりでしたので、どうにか無事に参加及びレポート提出も出来ましたが。
こんな風に、何かを「やってみない?」とか「やってくれない?」と上に言われた時には、もちろん私側に選択する権利はあるわけですが、きついけど、やっぱりやった方が後々のためにいい、ということで私の神様が後押しして下さっていると思えて、Yesと言います。で、いつも(最初すごく不安がってしまう割には)『あぁ~やってよかった』と思えてしまう、お調子者であります。あと、私の状況の場合、断ってしまうと、今後の仕事のオファーも来ないだろうという前提もあるので、なるべくYesと言いたいものだな、と思っています。
ちなみに現在は2クラス受け持たせてもらっていて、毎週準備を含めてフル回転です。対象はヒスパニック系オンリーと、これまで全く教育を受けたことの無い、アジアの山奥の難民キャンプで長年暮らしてきた人たちで、ABCなど英語の文字などはもとより、アメリカの文化的な知識も、文字の書いてあるプリントの問題をやってみるという概念自体(例えば空欄を埋める、などという概念は、難しく、もし一度出来たとしても次回は忘れてしまうことが多いです)も、ほぼゼロの方達です。これまで以上の、チャレンジで、これまで文字を含んだプリント類が使えていたことや、ボードに書けていたことって何と幸いだったのだろう、と最近思っています。それに、まだ、restaurantとかmovieなどという話題もまだ馴染みがないようで振れませんし。
新しい挑戦ですが、今学期いろいろ試行錯誤することが、きっと、後々のことにも役立っていくのだろうな、と思います。それに、自分と違う人たちとのふれあいは、コミュニケーションの現場では?のマークが沢山浮遊してしまうのですが、それとは逆に、実際はものすごく充実していて、祝福を受けているなぁと感じます。意思疎通が困難であればあるほど、コミュニケーションがよりシンプルになるからでしょうか、喜びの表現も更に更にストレートになっていっているような気がします。
あ、すみません、長々と自分のことを書いてしまいました。
お伝えしたかったのは、自分を追い込むことって、初めきつくて嫌なのですが、結局はいいものですね、ということでした。
Sanaeさんの追い込みようは、ほんとすごいです!素晴らしい!の一言です。
お体に気をつけられて、お時間の許す範囲で、これからも私たち読者を励ますメッセージをお願いします!
投稿者: deziz | 2010年9月11日 00:43
日時: 2010年9月11日 00:43
deziz さん、お久しぶりです。どうしていらっしゃるかなと思っていたんですよ。「自分を追いやる」 のは大変なことですが、私は若い頃、何に対しても中途半端だったので、人生はトータルされるようになっているのかなと腹をくくっています。
睡眠時間を削ってまで何かに没頭したことって今までなかったのですよ。一生に一度くらいは、ちょっと大変な時期があってもいいのかなと思います。
結果的には、「はい、やります」と言(ってしま[!])うんですね。
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deziz さんのこのコメントを読んだとき、クスッと笑ってしまいました。何だかんだ言っていても、結局 deziz さんも同じようなことしているではありませんか。
参加費をコミュニティー・カレッジ側が出してくれ、全州レベルでの「成人識字教育スキル・カンファレンス」に出席するなんて、deziz さん、素敵!すごい活躍ではありませんか。海の向こうで日本人である deziz さんが素晴らしい活動をしているのはいつ聞いても気持ちが良いです。鼻が高いですよ、deziz さん!!
文字の概念のない人たちにも英語を教えていらっしゃるのですね。私には全く未知の世界です。deziz さん、すごいですよ。
deziz さんがおっしゃるように自分と違う人たちとの触れ合い、良いことたくさんありますよね。ものごとの見方がが変わってきます。寛容になっていく自分も感じます。それもこれも結局、英語を勉強することによって得られた副産物です。やっぱり私、英語好きです!だから続けているんですね。英語を通して生徒さんたちや、このブログの読者の皆さまとこうしてお話できることは私にとってこのうえない喜びです。皆さん、ありがとうございます。
投稿者: 川本佐奈恵 | 2010年9月11日 06:39
日時: 2010年9月11日 06:39